5月1日のメーデーはイタリアでは労働者の祭典として、祝日です。そんなメーデーですが、実はローマなどの中部イタリアでは、ソラマメとペコリーノチーズを食べる日でもあることをご存知でしょうか?
なぜソラマメ?
祝日であるメーデーは、イタリアの中部地方(トスカーナ〜ラツィオ州あたり)では、家族みんなでバーベキューやピクニックに出かけます。
そこで食べるのが、ソラマメとペコリーノチーズ。
テーブルに、ソラマメをわんさか置いてペコリーノチーズ(ローマだとペコリーノロマーノ)を砕きながら、赤ワインをちびちび(ぐびぐび?)飲むのが、ローマ流。
それでは、なぜソラマメやペコリーノチーズをこの日に食べることになったのでしょうか?
一説によると、古代ローマ時代から続いている伝統の習慣だとか。
ソラマメ(イタリア語で fava ファーヴァ)は、ローマの4月〜5月の旬の野菜でもあります。
旬のものを大事にするイタリア。地元で採れたばかりの新鮮なソラマメを、旬の時期に頂きます。旬の時期が 1番美味しいですもんね。
しかし食べ方が驚くことに、生のままポリポリ!
最初、この話を聞いたときは、生のソラマメを?!と、抵抗を感じたものですが、口に運んでみて意外や意外…。新鮮なソラマメは、噛めば噛むほど甘くなり、マメを口に運ぶ手が止まらなくなりました。
ペコリーノチーズの理由
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そして、ソラマメと一緒に食べるのが、ペコリーノチーズ。
ペコリーノチーズ(ローマではペコリーノロマーノがほとんど)は、塩分の非常に強いチーズです。
ソラマメの甘さが口に広がっているところに、この塩気の強いチーズをかじると、甘さと塩気が溶け合って、なんとも言えない美味しさに変わるのです。
ちなみに、合わせるチーズのペコリーノチーズについて少し。ペコリーノとはイタリア語の pecoraペコラ(羊)からきている名前の通り、羊の乳からできるチーズです。
牛乳で作るチーズとは異なり、独特のコクと癖があります。
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トスカーナ地方のものだと、ペコリーノトスカーノ、シチリアのものならペコリーノシチリアーノと名前がつきますが、ペコリーノロマーノはロマーノとローマの名を冠していながら、ローマよりもサルデーニャ島が主要な産地なんです。
なぜでしょうか?
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昔はローマでもたくさん作られていたペコリーノロマーノですが、徐々に羊を飼う土地が足りなくなり、現在では主にサルデーニャで作られる事になったのだとか。しかし名前はロマーノのまま、といったあたりにローマ人のプライドを感じるのは私だけでしょうか。
ところで、ペコリーノロマーノは非常に塩分の強いチーズで、塩の代わりに使うこともあるほど。
ローマの有名三大パスタ、カルボナーラ、アマトリチャーナ、カチョ・エ・ペペなど全てペコリーノロマーノを使いますが、やや塩気の強い味に仕上がっています。
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ペコリーノロマーノは、独特な風味と少し強い塩味が、古代ローマ時代からローマ人に愛されてきました。
合わせるワイン
甘さと塩気が混じった舌を満足させるのは、やはり赤ワインです。
先程ご紹介した通り、ペコリーノロマーノはサルデーニャ島で作られていますので、サルデーニャのワインがよく合います。
特に相性が良いのが、カンノナウ・ディ・サルデーニャというワインが、しっかりした味でチーズに負けずぴったりです。
最後に
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今回ご紹介したソラマメは、イタリアのソラマメです。春の終わりから初夏にかけて出回りますが、日本のソラマメに比べると豆は小さく柔らかく、生で食べるのにぴったり。
イタリアの青空の下、フレッシュなソラマメをかじり、ペコリーノロマーノと一緒に赤ワインで喉を潤す。初夏のローマの名物料理を楽しみ、これからやってくる夏に思いを馳せてみるのはいかがですか?
この記事を書いた人
YUKAKO
夫の転勤に伴い、ローマに1歳の娘を連れて渡伊。イタリア人の子ども好きで面倒見の良さに感激する。また、現地のイタリア料理教室にも通い、イタリア料理の奥深さに触れる。子育て中の母親の視点、また料理好きの視点で、イタリアの魅力をお届けできればと思います。
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