ローマの三大パスタとは?

ローマは、イタリアの首都であると同時に、世界中から観光客がやってくる観光都市でもあります。そんなローマの三大パスタをご存知ですか?カルボナーラ、アマトリチャーナ、カチョ・エ・ペペの3つを指して、ローマの三大パスタと言われています。今回はこの3つのパスタについてご紹介します。

日本でも人気!カルボナーラ

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日本でもすでに市民権を得ているのが、カルボナーラ。レストランなどでもよく見かけますし、家庭料理のレシピも多数紹介されているので、ご存知の方が多いのではないでしょうか。

『カルボナーラ』の由来

由来は諸説あります。

薪から木炭を作る炭焼き職人が、考案したと言う説。
『炭焼き職人』のことをイタリア語で、carbonaio カルボナーイオと言うことから、カルボナーラという名前になったとする説です。
パスタの上にかかっている胡椒が炭のようにも見えますね。

また、第二次世界大戦後、アメリカ軍がベーコンや卵を持ち込み、イタリア人シェフがそれらを使って作ったとする説もあります。

ちなみに日本では、カルボナーラに使うお肉はベーコンとされていますが、イタリアではグアンチャーレという豚の頰肉を使うのが一般的です(パンチェッタを使うレシピもあります)。
※グアンチャーレについては、レシピのところで詳しく述べます。




カルボナーラ 使う材料について

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ポイント1: パスタ

日本でカルボナーラに使うパスタといえば、ロングパスタがメジャーですが、イタリアではショートパスタも使います。
特によく見かけるパスタは、mezze maniche(メッゼ・マニケ)。イタリア語で『半袖』という意味で、筒状のパスタです。マカロニに比べると2倍くらいの大きさでしょうか。表面がザラザラしていて、このザラつきが濃厚なクリームとよく絡まります。

ポイント2: 使用する肉

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お肉はグアンチャーレという、豚の頰肉を塩漬けにして2、3週間熟成させ、表面に胡椒やスパイス、ハーブなどを、刷り込んだものを使います。
脂が多く、この肉を使うとソースのコクが違います!
パンチェッタを使うパターンもあります。こちらは、豚バラ肉を塩漬けして熟成させたもの。ベーコンのように薄切りにして売っています。

どちらもコクの出るお肉ですが、筆者の個人的意見としては、グアンチャーレの方がハーブやスパイスの香りも感じ、より濃い味が出ると思います!

ポイント3: チーズ

使用するチーズは、ペコリーノロマーノというヒツジのチーズです。
牛乳から作られるチーズと違い、塩気が強く味が濃いのが特徴です。

ポイント4: 生クリームは使わない!卵は全卵

本場のイタリアのレシピでは、生クリームは使いません!
卵は全卵です。日本だと卵黄のみを使うレシピが多いですが、イタリアは全卵を使って料理します。




カルボナーラ レシピ

材料(4人分)

パスタ(お好きなパスタ)400グラム
グアンチャーレまたはパンチェッタ 200グラム
卵 5個
ペコリーノロマーノ 120グラム
胡椒 適量

1. たっぷりのお湯を沸かし、塩を入れます。グアンチャーレは短冊切りに、ペコリーノロマーノは粗削りにします。

2. お湯が沸いたら、パスタをゆで始めます。プライパンを弱火にしてグアンチャーレを炒め始めます(※オリーブオイルは使いません)。脂身が透明になったらOKです。

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3. ボウルに全卵、ペコリーノを大さじ2、胡椒を入れ混ぜます。

4. ゆであがったパスタをフライパンに入れ、卵液も加えます。この時、火は止めておいて下さい!火がついていると、ダマになります。

最後に、ペコリーノをふりかけて出来上がりです。

ナポリタンの元祖?アマトリチャーナ

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これぞ、皆さんが『イタリア料理』と聞いて頭に思い浮かべるトマトパスタではないでしょうか?
トマトソースを絡めたパスタにすり下ろしたチーズをまんべんなく振りかける。
イタリアでも飽きのこない味として、大変愛されている一品です。

『アマトリチャーナ』とは?

アマトリチャーナとは、ローマの北東の山間部にある村、Amatrice アマトリーチェから来ています。アマトリーチェで生まれたパスタなので、アマトリチャーナになりました。

アマトリーチェで生まれたパスタでは、もう一つグリーチャというものもあり、こちらはアマトリチャーナとほとんど同じ材料なのですが、トマトが入らないことから、amatriciana bianca (白いアマトリチャーナ)との名前も。
材料、作り方がほとんど同じことから、グリーチャはアマトリチャーナの元祖とも言われています。




アマトリチャーナの材料

ポイント1: 穴の空いたパスタ、ブカティーニ

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使うパスタですが、できれば太めの麺を使用されることをお勧めします。
よく使われるのは、bucattiniブカティーニ。『穴のあいたパスタです。
太めの麺は、濃い味のソースとよく合います。

ポイント2: 使うお肉

こちらも、グアンチャーレを使います。コクが違いますので、お勧めします。パンチェッタでももちろん大丈夫です。
日本にいてもイタリアの食材を輸入しているお店が増え、グアンチャーレやパンチェッタといった加工肉が手に入るところも増えました。通販を行っていることも多いです。

ただしどうしても手に入らない場合は、ベーコンを使用してください。

アマトリチャーナ レシピ

材料(4人分)

パスタ(お好きなパスタ)400グラム
トマト缶 1缶
グアンチャーレ 200グラム
ペコリーノロマーノ 150グラム
玉ねぎ 1個
ニンニク 1片
白ワイン 大さじ1

1. ペコリーノロマーノは粗削りしておきます(トッピング用に少し取っておく)。玉ねぎを薄くスライス、グアンチャーレを短冊切りにして、フライパンにオリーブオイルを入れて弱火で炒めます。鍋にたっぷりのお湯を入れ、沸いたらパスタを表示通りゆで始めます

2. 白ワインとトマト缶、ペコリーノロマーノをフライパンに投入し、ソースを煮詰めます

3. ゆでたパスタをフライパンに入れ、ソースに絡め、お皿に盛りつけチーズをふりかけたら出来上がりです




最近日本でも注目が集まっている!カチョ・エ・ペペ

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三大パスタの中で1番マイナーなのが、カチョ・エ・ペペでしょうか?
イタリア語で、カチョ=チーズ、ペペ=胡椒という意味になります。その名の通り、主な材料はチーズと胡椒の2つというとてもシンプルなチーズです。
最近では、日本のファミリーレストランのサイゼリヤでもカチョ・エ・ペペがメニューに加わるなど、少しずつ日本でも注目されつつあるようです。

カチョ・エ・ペペの材料

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先ほど書いた通り、主な材料は2つ、チーズと胡椒です。

ポイント1: チーズはペコリーノロマーノと…

伝統的なレシピでは、チーズはペコリーノロマーノだけを使うことが多いですが、少しクセが強いので、パルミジャーノ・レッジャーノを加えると食べやすくなります。
お好みでお使いください。

ポイント2: パスタは表面がザラザラしたもので

パスタは、こちらも濃厚なクリームなので、表面がザラザラしてソースと絡みやすいものが良いでしょう。

ポイント3: 合わせるセコンド(メイン料理)

このカチョ・エ・ペペと一緒に合わせて食べると美味しいセコンド(メイン料理、肉や魚など)でお勧めはサルティンボッカという肉料理です。サルティンボッカは仔牛肉を使った料理で、シンプルながら、クセのない味付けで箸(フォーク?)が進みます。
どちらも塩気のある料理なので、ワインを飲む手が止まらなくなるかもしれませんね。

合わせて読みたい 口の中に飛び込んでくる!?”ローマの郷土料理サルティンボッカの魅力とは?




カチョ・エ・ペペ レシピ

材料(4人分)

お好みのパスタ 400グラム
ペコリーノロマーノ 200グラム
パルミジャーノ・レッジャーノ 100グラム
粗挽き黒胡椒 適量

1. 鍋にたっぷりのお湯を沸かし、粗塩を入れて沸いたらパスタをゆで始めます。チーズ類はすり下ろします(トッピング用のチーズを別に取っておきます)。

2. フライパンに胡椒をから煎りし香りを出します。パスタのゆで汁をお玉1杯分入れて、汁に胡椒の香りを移します。下ろしたチーズを加え、とろみを出します。

3. パスタを表示の時間よりも2分ほど早く取り出し、フライパンに移しチーズソースを絡めながら、少しゆでます。

4. お皿に盛り、チーズと胡椒を振りかけて出来上がりです。

最後に

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ローマの三大パスタ、カルボナーラ、アマトリチャーナ、カチョ・エ・ペペ。
あなたはどのパスタが好きですか?または食べてみたいですか?
ちなみに私の友人知人にこの3種類のパスタでどれが好きかアンケートを取ったところ、アマトリチャーナがダントツでした。次点はカルボナーラ、そしてカチョ・エ・ペペ。カルボナーラが不動の1位かと思っていたので、意外な結果でした。アマトリチャーナも日本でも浸透してきている証拠ですね。

もし次回ローマに行く機会があったら、この3つは是非味わってください。

本日ご紹介したパスタは、そこまで作るのは難しくありません。材料もたくさん揃える必要もありませんし、お料理初心者にもハードルの低いお料理だと思います(グアンチャーレなど手に入りにくいものは、ベーコンで代用でもオッケーです)。

ぜひチャレンジして頂き、お家でローマの味に浸ってみてください!




この記事を書いた人
YUKAKO
夫の転勤に伴い、ローマに1歳の娘を連れて渡伊。イタリア人の子ども好きで面倒見の良さに感激する。また、現地のイタリア料理教室にも通い、イタリア料理の奥深さに触れる。子育て中の母親の視点、また料理好きの視点で、イタリアの魅力をお届けできればと思います。
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