皆さんはアーティチョークを口にしたことはありますか?
ギザギザがいっぱいのお花のような野菜のような、不思議な形のあの野菜です。日本ではアーティチョークという名前で知られていますが、イタリア語ではカルチョーフォ(複数形でカルチョーフィ)と呼ばれています。日本語の正式名称は、『朝鮮アザミ』と言い、一見すると、お花のように見える不思議な野菜です。
アーティチョークの旬は?
イタリアでは、夏が終わると市場やスーパーマーケットの野菜コーナーにこんもりと積み上げられます。出回る時期は、10〜4月ごろで、イタリアの冬の食卓を彩ります。1本、約1ユーロ前後です。
筆者はイタリア野菜でアーティチョークが一番のお気に入りなのですが、その美味しさにハマり、夏に市場でアーティチョークがないか尋ねたら「時期は過ぎたよ、おしまい!」と言われ、そんなことも知らないのかという表情で呆れられた思い出があります。
旬を大事にするイタリアは、旬のものだけを棚に並べるのです。
アーティチョークの色々な食べ方
さて、そんなアーティチョークは、イタリア人に愛されている野菜で、色々な食べ方があります。
新鮮なものは生で食べたり、茹でたり揚げたり、オイル漬けにしたりと調理法も様々です。
そんな様々な料理の数々から、今回はその一部をご紹介します。
イカとアーティチョーク、ジャガイモの煮込み
Photo by YUKAKO
この不思議な組み合わせ、どんな味なの?と思うかもしれませんが、アーティチョークとイカがじっくり煮込まれ、さらにそこに、ジャガイモのほろっとした食感が合わさって、とっても暖かい味になってます。
イカが入っているので、そこは少しパンチがあって暖かいんだけど、滋味深い。
味は全然違うのですが、日本のイカ大根のように、優しいんだけど元気が出る、そんな味わいと言えるでしょうか。
アーティチョークのローマ風煮込み
Photo by YUKAKO
こちらは、ローマを代表する郷土料理です。
アーティチョークの中にニンニク、メントッチャ(ミントの一種)を詰め、オリーブオイルと白ワインなどでコトコト煮込んで作ります。
アーティチョーク丸ごと味わえますので、アーティチョーク好きにはたまりません!シンプルな味付けで、ホクホクしたアーティチョーク、ワインが進みます!
アーティチョークのユダヤ風
Photo by Tempworks on photo AC
アーティチョークを素揚げにした一品。こちらもローマの郷土料理出で、よく市場やリストランテで前菜としてメニューに並んでいます。
ユダヤ風と呼ばれるのは、ローマにはユダヤ人街があり、そこのユダヤ人達がアーティチョークを素揚げにして食べていたから。
ローマの郷土料理なのに、ユダヤ風って面白いですね。
ピッツァカプリチョーザ
Photo by YUKAKO
カプリチョーザは、イタリア語で『気まぐれ』という意味です。つまり、ピザの上にピザ職人の気の向くまま、具材をトッピングして作られているんです。
ですので、アーティチョークは必須、というわけではありませんが、よくトッピングされています。トッピングされるのは、オイル漬けになったアーティチョーク。これも不思議とピザとマッチして美味しいんです。
見かけたら是非食べてみてください。
旬のオススメレシピ
では、そんなアーティチョーク好きの筆者が1番美味しいと感じるアーティチョークのレシピをご紹介します。レシピ名は『アーティチョークと春野菜の煮込み』。春野菜、と名前がついている通り、春野菜をたくさん使います。
まだまだ寒い季節ですが、少し春を先取りしちゃいましょう!
Photo by YUKAKO
アーティチョークと春野菜の煮込み
材料(4人分)
アーティチョーク 2個
空豆 800グラム
エンドウ豆 800グラム
玉ねぎ(薄切り) 30グラム
グアンチャーレ(豚の頰肉) 50グラム
ローマレタス 適量
メントゥッチャ(ミントの一種)適量
白ワイン 適量
レモン汁 適量
オリーブオイル 適量
塩
Photo by YUKAKO
アーティチョークの外側のガクは食べられません。これくらい剝いてください
1、アーティチョークはガクの硬い部分を取り除き、白い部分だけにして、縦に半分に切る。レモン水を作り、浸してアクを抜く。
2、空豆、エンドウ豆はさやから出し、洗う。グアンチャーレは細切りにして、レタスはちぎってざく切りにする。
3、鍋にオリーブオイルを入れ、グアンチャーレを弱火で3分ほど炒め、玉ねぎを入れる。
4、アーティチョーク、白ワイン、熱湯100ccを順に加えて5分ほど火を通し、空豆を加えさらに5分ほど煮る。さらに、エンドウ豆、メントゥッチャ、熱湯50cc、塩少々を加え10分ほど煮込む。最後にレタスを加え、皿に盛る。
補足:
グアンチャーレは、豚の頰肉を塩漬けにして、2、3週間乾燥させたものです。
メントゥッチャは、ハーブの一種でアーティチョークと相性が良く、料理で一緒に使われることが多いです(ローマ風煮込みでも使用)。
さして派手な見た目ではないこの一皿。
食べると、グアンチャーレのコクがスープにしっかり出て、アーティチョークのホクホク感と、豆のほっこり感、そしてレタスのシャキシャキ感がうまーくマッチングして、なんとも優しい味に仕上がっているんです!
筆者は、イタリアでアーティチョークを初めて食べたのはこの料理で、、アーティチョークの美味しさに目覚めたのでした!
家庭料理であるこの一品、ぜひ春が訪れたら食べてみてください。
様々な加工食品も!
イタリア人に愛されるアーティチョーク。そのまま食べるだけではなく、様々な加工食材としても、活用されています。
オリーブオイル漬け
Photo by YUKAKO
こちらは瓶詰のアーティチョーク。オリーブオイルに漬け込んで、長期保存できるようにしています。
アーティチョークのペースト
Photo by YUKAKO
ペーストにしたアーティチョークもあります。
パスタソースにしたり、パンに塗ったりと使い方は様々。
アーティチョークのリゾット インスタント
Photo by YUKAKO
なんとこちらは、アーティチョークのリゾットのインスタント。
お湯を注いで、温めるだけでとても美味しくなります。
もしイタリアに行く機会があれば、お土産にピッタリです。
日本で手に入る?アーティチョーク
ここまでお読みいただき、アーティチョークが食べたくなってしまったかもしれません。
日本では、まだあまり身近な食材ではないため、スーパーに行けばある、とは限りませんが、たまに… 本当にたまにですが、デパートの地下や高級食材を扱うスーパーで見かけることが、出てきました。
しかし、そんな不確実な情報は困りますよね。そんな皆さんに朗報です!
なんと、最近あの人気輸入食材店、カルディにアーティチョークの缶詰が販売されていることが分かりました。
Photo by YUKAKO
しかも、お値段もお手頃価格。
残念ながら生の食感は味わえませんが、既に処理もしてありますし、初めて食べてみるにはちょうど良いと思います。
使いこなせば万能野菜!
Photo on pixabay
イタリア人が大好きな野菜、アーティチョーク。レシピもたくさんあり、調理法によって表情を変える、不思議な野菜です。
あなたが、一番好きなアーティチョーク、見つけてみてください。
この記事を書いた人
YUKAKO
夫の転勤に伴い、ローマに1歳の娘を連れて渡伊。イタリア人の子ども好きで面倒見の良さに感激する。また、現地のイタリア料理教室にも通い、イタリア料理の奥深さに触れる。子育て中の母親の視点、また料理好きの視点で、イタリアの魅力をお届けできればと思います。
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