イタリアのトイレで必ず見かける、ビデ。あれは一体何なのか、使い方と注意点をご説明。なぜウォシュレットが普及しない?
フランス生まれのビデ
イタリア旅行でホテルに宿泊した際、バスルームにある便器の隣の洗面台のようなあれには、戸惑ったことがある人も多いでしょう。あれは「ビデ(bidet)」と呼ばれ、足を含めた下半身を洗うためのものです。
ビデは18世紀にフランスで生まれ、今では南欧を中心に広く使われています。その名の由来は、ビデにまたがる姿が馬にまたがる姿に似ているため、「仔馬」を意味する古いフランス語からきたという説が有力です。日本人ほど毎日お風呂に入ったり清潔にしたりする習慣のない国で、清潔さを保つ大切な生活の一部です。筆者もこれまでいろいろなホテルやアパートを訪問しましたが、ビデのないバスルームにはまだ出会ったことがありません。
18-19世紀の画家フランスの画家ルイ=レオポルド・ボワイーが描いた「トワレ・インタイム 花びらの散った薔薇」
前向き?後ろ向き?どうやって使うの?
答えは「どちらでも良い」で、洗う部分によって洗いやすい向きで使用します。ITALIAMO調べによると、イタリア人は前の方を洗いたい場合は壁向き、後ろの方を洗いたい場合は壁に背を向けて使用するとのことでした。便座で用を足した後に、そのまま横移動ですね(便座とビデが向き合っている場合もあります)。
使用していない状態 ノズル拡大、ノズルの向きは変えられるがホースは出てこない水が出ている様子
ビデ使用における注意点
何も難しいことのないビデの使用方法ですが、いくつか気づいた点としては、ビデの近くに掛けられているタオルは、ビデ用タオルである可能性が高いため、顔などを拭かない方が無難です。また、ビデは足を含めた下半身を洗うところですから、ビデの水で歯を磨いたり、顔を洗ったり、ワインを冷やしたりしないようにしましょう。
なぜウォシュレットが普及しないか
「おしりだって洗ってほしい」のキャッチコピーで、日本人の心をつかんだTOTOウォシュレットに代表される温水洗浄便座。海外に住んでいると恋しいものです。なぜヨーロッパでは普及しないのでしょうか?筆者なりに考察してみました。
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- 「おしりは既に洗われている」 既にビデがある
- 値段が高い 数百〜数千ドルを払って得られるベネフィットが少ない/ベネフィットとしては手動から自動になることや場所を節約できること
- 工事が複雑 ヨーロッパは古い建物が多い
- 水が詰まりやすい 石灰分を含んだ硬水はすぐ詰まる
まとめると、高いお金を出して、手間ひまかけて工事したり掃除したりしてまで、買う必要がないっていうところが理由だと思われます。
ITALIAMO編集部