皆さんこんにちは!Perapera.itというイタリア語オンラインスクールの Annalisa(アンナリーザ)と申します。Italiamo Magazine とのコラボでイタリア文化やイタリア語についての記事を書いています。よろしくお願いします!
最近、イタリアのサンレモ音楽祭に Beatrice Venezi(ベアトリーチェ・ヴェンツィ)という、有名な女性指揮者が参加しました。彼女が音楽祭で Direttrice(イタリア語では女性の指揮者)と呼ばれた時、「私が女性でも、自分の職業を表す単語は Direttore d’Orchestra になりますので、私のことを Direttore(イタリア語では、男性の指揮者)と呼んでください!」と答えたことが、イタリアでは大きな話題となりました。
2021年サンレモ音楽祭より、右が Veneziさん Photo by RAI
どうして Venezi さんがそう言ったことが話題となったか、名詞に性別のない英語や日本語などの言語を話す方には少しわかりにくいかもしれないのですが、イタリア語を勉強したことがある人にはよく理解できるでしょう?
つまり、イタリア語の名詞には、性別があるということです。簡単にまとめると、イタリア語では母音Aで終わる名詞は女性名詞(例:La pizza ピザ)、母音Oで終わる名詞は男性名詞(例:Il gelato ジェラート)というパターンが多いです。もちろん例外もたくさんありますので、注意しましょう。例えば、La mano「手」は女性名詞で、Il problema「問題」は男性名詞になります。これらの単語は男性・女性という性別があるわけではないのですが、それぞれのジャンルに区分されています。
性別のある人間や動物の言葉だと、違う話となります。つまり、「子供」は男性なら Il bambino になり、女性なら La bambina に変更します。「猫」は Il gatto(オス)か La gatta(メス)、「教師」はIl maestro(男)か La maestra(女)という変化があります。イタリア語の職業や肩書き表す言葉も同様です。
- 「作家」男 Lo scrittore 女 La scrittrice
- 「弁護士」男 L’avvocato 女 L’avvocatessa
- 「審判員」男 L’arbitro 女 L’arbitra
- 「市長」男 Il sindaco 女 La sindaca
- 「指揮者」男 Il direttore d’orchestra 女 La direttrice d’orchestra
Maestra や Scrittrice を使う場合は問題ないのですが、Arbitra や Sindaca、Direttrice d’orchestra 等の言葉は、女性形を使う使い方には慣れていないせいか奇妙に聞こえるため、使いたくないというイタリア人がたくさんいると思います。
理由を想像できますか?
それは、昔からずっと男性の方が多かった(または男性しかやっていなかった)職業の女性形を表す単語だからです。現在はその言葉の女性形を使ったり、Venezi さんの発言のように女性でも男性形を使ったり、女性でも男性形に donna を追加したり(L’arbitro donna)、まるでルールがないかのように、皆が好きなバージョンを使っているようです。
けれど、言語は社会的な変化と共に進化しますので、慣れるまでは正しい形を使ってみましょう!
【難しいでしょう?もしもっと習いたいなら、PeraPeraイタリア語レッスンはどうですか?info@perapera.it】
アンナリーザ先生の他のコラムは こちら