ミラノでは笑顔でないことは法律違反だって知っていましたか?
2014年11月の Corriere della Sera というイタリア大手新聞によれば、
「La legge asburgica mai abrogata: qui sorridere è obbligatorio」
つまり、ハプスブルグ時代の法律はまだ廃止されておらず、ミラノ市民はいつでも笑顔でいなければならない、ということなんです。
モードとデザインの街であり、イタリア経済を牽引する大都市ミラノ。イタリア半島の付け根に広がる肥沃な大地、ロンバルディア平原の中心部に位置するミラノは、交通の要として古くからさまざまな民族が住みついてきました。
ローマによる支配、異民族との戦いなど長い歴史を経て14世紀に誕生したのがミラノ公国。富に恵まれ文化に富んだ、洗練された都市としての一時代を築きあげます。ドゥオモ大聖堂やスフォルツェスコ城が建設されたのも、サンタ・マリア・デッレ・グラツィエ教会でレオナルド・ダ・ヴィンチが『最後の晩餐』の壁画に取り組んでいたのもこの頃です。
ミラノ公国の衰退後は、神聖ローマ帝国やスペインによる統治が行われ、18世紀頃からオーストリアのハプスブルク家の支配下に置かれることとなりました。「ミラノ市民はいつでも笑顔でいなければならない」という法律は、この時代に定められました。ただし、お葬式の場と病院ではその義務は免除、でした。
この法律はいまだに無効化されていないことから、今でも存続しているというのが、一つの解釈なんです。ミラノの街を歩く時は、笑顔で!
というのは史実に基づいたネタで、ミラノの街を笑顔を絶やさずに歩いていても、警察に逮捕されるなんてことはありませんのでご安心くださいね。
笑顔が義務、ということは笑顔が自然に出る環境ではなかったということが想像されます。記事によれば、元々ミラネーゼは真面目でせっかちで不機嫌な気質だったのに加え、オーストリアの支配に対する不満があったのではないか、とのこと。現代のおもしろ知識には、過去の悲しい歴史があったんですね。
ITALIAMO編集部