食にまつわるイタリアと日本の習慣の違い

イタリアが好きで、普通の人よりはイタリアに詳しいと思っていた筆者が、イタリア人との暮らしの中で気づいた、日本とは違う食にまつわる習慣について

日曜日のランチ

イタリアで日曜日のランチといえば、家族が集まって食事をする日。日本では、日曜日に友達とでかけたりして外食することは普通かと思いますが、日曜日のランチに友人と約束をするイタリア人はあまり見かけません。実家を出た子供たちも、実家に戻れる範囲に住んでいれば、日曜日は実家に戻ります。近年では、家族が遠くに住んでいたり、それぞれが忙しく生活していたり、コロナ問題があったりなど、日曜日に家族で集まることがなかなか難しい状況にあったりもしますが、それでもやはり日曜日は特別です。日曜日のランチには少し手の込んだものを用意したり、手作りドルチェをつくったり。日曜日のランチに定番メニューはないと思いますが、筆者がお世話になっている家庭では、一晩寝かせてつくるローストのお肉料理をよく日曜日に食べます。たとえ家族全員が集まることができなかったとしても、いつもよりゆっくりと食卓を囲むのがイタリアの日曜日のランチです。

日曜日用にマンマが用意したピスタチオのティラミスとクロスタータ Photo by MAYUKO




テーブルセッティング

日本では、台拭きなどでテーブルを拭いて、テーブルの上に直に食器を並べることは普通のことですが、イタリアではテーブルクロスやランチョンマットをテーブルの上に敷き、その上に食器を並べるのが一般的です。テーブルクロスは、後片付けのときにパン屑をまとめるのにも重宝します。また、口や手を拭くためのナプキンも使用します。ナプキンは紙のものだったり、布のものだったり、家庭によりけり。テーブルクロスは便利なのですが、気になったのがテーブルクロスの洗濯頻度。もちろん家庭によって異なると思いますが、毎回テーブルクロスを洗濯しているイタリアの家庭は少ないのではないかと思います。お客様がくるときや、親族の集まりなど、特別なときは綺麗なものを使用しますが、普段は何回も使い回しをします。

また、食器の置き方も日本とは異なります。日本では、食事の際にお皿を重ねておくことはないと思いますが、イタリアの家庭では、プリモピアット(パスタやリッゾットなど)とセコンドピアット(肉や魚料理など)の両方を食べる時、お皿が2枚重ねて用意されます。上にはプリモピアット用に少し深くなっているお皿を、下にはセコンドピアット用に平たいお皿を置きます。プリモピアットが食べ終わったら、上に置かれたお皿をさげ、下に置いていた平たいお皿にセコンドピアットのお料理を盛りつけます。食卓でのパンの置き場についても、日本人は少し驚くかもしれません。イタリアでは家庭でもレストランでも、パンにとりわけ皿は用意されません。テーブルクロスの上に直に置くのが普通なのです。

Photo by MAYUKO

テーブルクロスを敷いて、食器を並べます。ナプキンはお皿の左に置くのがマナーとしては正しいようですが、我が家のイタリア人たちは「右に置く方が使いやすい!」と言い、普段は右に置いています。

Photo by MAYUKO

2枚重ねでお皿が置かれます。

Photo by MAYUKO

プリモピアットが食べ終わった後は、下に置かれていた平たいお皿にセコンドピアットを盛ります。

合わせて読みたい イタリア一般家庭の普段の食卓

好き嫌いがはっきりしているイタリア人

一緒に暮らしているイタリア人家族や、イタリア人の友人たちを見ていて思うのが、イタリア人は嫌いな食べ物が多いということ。筆者の偏見かもしれませんが、イタリア在住の日本人の友人も同じことを言っていました。誰にでも嫌いなもののひとつやふたつはあると思います。ですが、彼らの場合は、多すぎではないか・・・と感じてしまうほど。同じ食材を使っていたとしても、料理によって、この料理は食べるけど、こっちの料理は食べない、ということも多々あります。たとえば、かぼちゃのリゾットは食べるけれど、かぼちゃのスープは嫌いだから食べない、というように好みがはっきりしています。また、驚くべきなのは、一人一人の好みに対応するイタリアのマンマ。同じ食卓を囲むにも関わらず、好き嫌いによって一人一人違う料理を用意することもあります。日本では、たとえ好きではない料理が出されたとしても、全く手をつけないということは少ないのではないでしょうか。しかし、イタリアでは、はっきりと物を言うお国柄のためか、嫌いなものは“嫌い”とはっきりと言い、手をつけないことが多いです。反対に“好き”なものに関してもはっきりしていて、自分の好みの食べ物であれば、飽きずにずっと同じものを食べているイタリア人、意外と多いです。

Photo by MAYUKO

筆者の家では毎週1回ピッツァを食べるのですが、ここ1年ほど、イタリア人家族は毎週味を変えずに自分たちのお気に入りのピッツァを食べています。彼らのお気に入りは、それぞれ、マルゲリータ、カプレーゼ、クアットロスタジョーニ。筆者は毎週違う味を頼み、いろいろな味を楽しむ派です。

#おうち時間

 

この記事を書いた人
MAYUKO
初めての海外旅行で訪れたのはイタリア。そこからどんどんイタリアにのめり込み、大学院在学中にイタリア留学を決意。大学院での研究テーマはジュゼッペ・ヴェルディ。一度は日本へ帰国・就職するも、イタリアへの想いが忘れられず、2019年に再びイタリアへ戻ることを決意。現在ミラノ郊外在住。
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