イタリアの復活祭(パスクア)って?何する?どこ行く?何食べる?

イタリアでは、復活祭(イースター)のことを『Pasqua パスクア(またはパスクワ)』と言います。クリスマスと並んでイタリア人にとってはとても大切な祝日となっています。キリストが十字架に架けられ、3日後に復活したことを祝う日です。パスクアの成り立ち、そしてパスクアの日はイタリア人はどのように過ごすのでしょうか?

パスクアとは?

ここ数年、日本でも徐々に身近になりつつある復活祭(英語名:イースター)。日本ではイベントの一つに過ぎませんが、カトリック教徒が多数を占めるイタリアでは、クリスマスに次ぐ非常に重要な祝日です。

パスクアが訪れる2週間前くらいから、街は女性デーを祝うミモザのデコレーションからから、パスクア一色に変わります。

パスクアはいつ?

それでは、パスクアはいつでしょうか?
クリスマスについてきっとすぐ12月25 日と答えられると思いますが、パスクアはいかがでしょうか?

答えは、『決まっていない』が、正解です。

正確には、春分の日(3月21日)を過ぎて満月の後の最初の日曜日です。

ですので、毎年日付が変わります。

2021年の今年は4月4日です。
去年は4月12日、来年の2022年は4月17日とのこと。年によって半月くらい開きがありますね。大体、3月下旬から4月中旬あたりに訪れます。

毎年日付の変わる祝日とは、ユニークで面白いですね。




パスクアでは何をする?

Photo by YUKAKO

それでは、パスクアの日イタリアでは何をしてお祝いをするのでしょうか?

パスクアの午前中は、連れ立って教会のミサに出かけ、敬虔なクリスチャンは茹で卵入りのカゴや器を持って行きます。
生命の象徴でもある卵は、キリストの復活をお祝いするのに欠かせない食材です。

そして、教会から帰ってきたら、お楽しみ、パスクア・ランチの始まりです!
家族や親戚が集まり、賑やかに食卓を囲みます。
この日のために、マンマが長い時間をかけてたくさんのご馳走を用意します。乾杯の合図ととともに、前菜、プリモ(一皿目、パスタなどの主食)、セコンド(肉などのメイン料理)、そしてデザートまで続くフルコース!
お昼に始まったランチが夕方まで続くなんてザラです。

パスクアはイタリア人にとって宗教行事であると同時に、家族の結びつきを確認できる大切なイベントの一つなんですね。

そして、パスクアの翌日の月曜日は、Pasquetta パスクェッタ(小さなパスクア)と言う名の祝日になります。

Photo by Kate Hliznitsova on Unsplash

パスクアが家族で過ごすのに対し、パスクェッタは、友人たちと過ごすのが一般的です。
お天気に恵まれれば、友人と集まってピクニックに出かけたり、バーベキューをしたり。
気のおけない友人と外で食べるご飯は、普段の何倍も美味しいに違いありません!

今年は残念ながらイタリアは新型コロナウィルスの感染拡大防止のため、パスクアで集まることは規制される方向に。
来年こそ、楽しく集まれることを祈ります。




パスクアで何を食べる?

パスクア当日、マンマが腕を振るって作る料理のメニューとはいかに?

メイン料理で出てくるのは、agnello アニェッロと言われる仔羊のグリル。
ローズマリーの風味を効かせシンプルに焼き上げます。付け合わせは、イタリア風ローストポテトなど。
仔羊肉を食べる理由は、仔羊が純血や純白を表す、または仔羊をキリストに見立てているなど、諸説あるようです。

Photo by Jon Tyson on Unsplash

そのほか、やはり卵を使ったお料理がたくさん並びます。

こちらは、仔牛肉にオムレツにした卵、チーズ、ホウレンソウなどをのせて巻いてグリルしたものです。

Photo by YUKAKO

前菜にも、卵をたくさん使ったものが並びます。

Photo by YUKAKO

また、デザートで欠かせないのが、Colomba pasquale コロンバ パスクアレです。鳩の形をした、大きなケーキです。
パスクアの時期になると、スーパーにはコロンバの包みが平積みにされます。
クリスマスの時期に並ぶパネットーネのような感じです。

Photo by Massimo Adami on Unsplash

Photo by YUKAKO

また、Uova di Pasqua ウォーバ・ディ・パスクア(イースターエッグ)も、出回ります。卵の形をしたチョコレートですが、中にプレゼントを入れて子どもたちに渡したりも(いわゆるエッグハントですね)。

Photo by Gabe Pierce on Unsplash

その他にもさまざまなお菓子が地域ごとにあります。

ここでは、一例をご紹介します。

サルデーニャの伝統菓子 Parudulas/パルドゥラス

Photo by dolkara @Instagram

型から手作りする復活祭のチーズタルトです。
サルデーニャのパスティチェリアではおなじみのデザートですが、もともとはパスクアを祝うためのドルチェです。
中に入れるリピエーノ(詰め物)は、リコッタチーズのクリームで、レモンやオレンジの皮で風味をつけます。

発酵菓子 Gubana/グバーナ

Photo by cooksillustrated @Instagram

スロヴェニアからやってきた北イタリアのお菓子です。guva(グーヴァ=折り曲げた)というスロヴェニア語に由来します。
伸ばした発行生地に、木の実やスパイスを入れてクルクルと巻き込みうずまき状にして焼き上げます。

ナポリの復活祭と言えば Pastiera/パスティエーラ

Photo by profumodibasilico.it @Instagram

パスティエーラに使う小麦は硬質小麦。ゆでる前に、3日間水に浸す必要があります。手間を省くために、すでにゆでた硬質小麦、グラノコットと言われるものを使う事も。
こちらも中身は、リコッタチーズ。風味付けにオレンジフラワーウォーターを使用しています。

パスクア時の注意

パスクアはクリスマスと並んで、イタリアでは最重要な祝日とお伝えしました。
イタリアに長く滞在したことがある方なら、お察しかもしれませんが、イタリアは祝日は、ほとんどのお店がお休みになります。
それは、もちろんスーパーマーケットも例外ではありません。

筆者がイタリアで初めてパスクアを迎えた日、買い物に行こうとスーパーに出かけた所、どこもかしこも”chiuso”(クローズ)の文字。結局、家の周りのスーパー4軒ほどはしごしましたが、全滅でした。その日は、冷蔵庫にある残り物でなんとか乗り切った思い出があります。

パスクアやクリスマスなど、大きな祝日の時は、前もって買い出しをするように気を付けましょう。

また、パスクア(日曜)、パスクェッタ(月曜)、そして土曜が休みであれば、3連休になるため、多くの人がイタリアに訪れ、街中は普段の週末よりも混雑します。

観光地のお店はだいたい開いているのですが、やはり閉まるお店も多いため、人が集中し混雑しがち。
また、イタリア国外から来るといっても、同じくカトリックの国々からやってくるため、レストランなどは大人数で予約して食事をしていることがあり、日本人の我々がふらっとレストランで食べようと思っても、満席で入れない可能性があるので、気を付けましょう。




さいごに

Photo by さいばーちょっと on Photo AC

日本ではまだ馴染みのないパスクアですが、イタリアでは大事な宗教行事であると同時に、家族や友人と過ごす大事な祝日の一つでもあります。

春の訪れとともにやってくるイタリア人の楽しみの一つが、このパスクア。
来年こそ、家族、親戚、そして友人たちと楽しいパスクアを過ごせることを祈って!

Buona Pasqua!

 

この記事を書いた人
YUKAKO
夫の転勤に伴い、ローマに1歳の娘を連れて渡伊。イタリア人の子ども好きで面倒見の良さに感激する。また、現地のイタリア料理教室にも通い、イタリア料理の奥深さに触れる。子育て中の母親の視点、また料理好きの視点で、イタリアの魅力をお届けできればと思います。
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