日本では12月25日が終わると、即お正月モードになりますが、イタリアは1月6日までクリスマスホリデーが続きます。1月6日をエピファニア(Epifania)またはベファーナ(Befana)と呼び、この日で長いクリスマスシーズンもフィナーレを迎えます。今回は、イタリアのクリスマスを締めくくるこの1月6日のエピファニア/ベファーナについてご紹介します。
イタリアのクリスマスはいつから?
Photo by YUKAKO
そもそも、イタリアのクリスマスはいつから始まるのでしょうか?
国民の多くがキリスト教(カトリック)であるイタリアは、行事のほとんどが宗教に基づき行われます。
宗派により認識は多少異なるようですが、12月8日の「無原罪のお宿りの日 (インマコラータ・コンチェツィオーネ Immacolata Concezione)」と呼ばれるこの日から、クリスマスシーズンがスタートします。
この「無原罪のお宿りの日」とは、イエス・キリストの聖母マリアがその母アンナの胎内に宿った日になります。
イタリアではこの日は祝日となり、この日からクリスマスツリーを飾る家庭が多いです。
また、クリスマスマーケットがオープンするなど、街は一気にクリスマスムードに華やぎます。
クリスマスの終わり、1月6日とは?
クリスマスの終わりは1月6日、と書きました。それでは、なぜこの日まで続くのでしょうか?
1月6日は「公現祭」と呼ばれ、イタリア語でエピファニア(Epifania)またはベファーナ(Befana)と呼ばれます。
L’Epifania tutte le feste porta via! (エピファニアはお祭りの締めくくり)
イタリアにはこのような言い回しがあります。エピファニアは、楽しかったホリデーシーズンの終わりを表しているんですね。
Photo by canva
さて、この公現祭。日本人には馴染みが薄いものですが、キリスト教三大祝日のひとつでもあります。
「イエスの誕生を知った東方の三博士が、その誕生を祝い、お祝いをもってやってきた日」とされています。イエス・キリストが人類の中に現れたことを記念する重大な日なんですね。
クリスマスの飾り付けで有名なプレゼピオ。公現祭の日に、この三博士の人形も加えられ、プレゼピオはこれで完成です。
ベファーナとは?
Photo by AdobeStock
宗教的な意味合いの強い公現祭ですが、現在では宗教色は薄れ、ホリデーシーズンの終わりを象徴する日となってきました。
さて、そんな公現祭のことを「エピファニア」以外にも「ベファーナ」と呼ぶのですが、そもそもベファーナとは、ほうきに乗ったおばあさんのことを指します。
ベファーナとは一体誰なのでしょうか?
イタリアにはこのような言い伝えがあります。
東方の三博士がイエス・キリストの生誕を祝いに向かう途中、立ち寄った村で、老婆に一夜の宿を求めます。彼女は村で一番の家政婦だと聞いた三博士は、彼女にイエスの誕生を祝おうと誘うも、老婆は断ります。三博士が立ち去った後、彼女は後悔し、後を追いますがイエスのもとにはたどり着けませんでした。
その後、この老女はイエスの母マリアにほうきを、イエスのための焼き菓子をバッグに詰め込み、イエスを探しさすらっている、というのがベファーナの言い伝えです。
ベファーナが持ってくるものは?
Photo by AdobeStock
日本ではなじみのないベファーナですが、イタリアの子どもはベファーナが来るのを楽しみにしています。
理由は、べファーナが子どもたちにお菓子やプレゼントを持ってきてくれるからです。
ベファーナは、いい子にはお菓子などを、暖炉(現在はない家庭がほとんどですが)にぶら下げた靴下にいれてくれます。
一方、悪い子には?なんと悪い子には「炭」が靴下に入れられるそう。
サンタクロースは悪い子には特に何も持ってこないのですが、ベファーナは炭を持ってくるなんて、ちょっと驚きですね。
Photo by AdobeStock
イタリアにはこの炭を燃した真っ黒のお菓子「カルボーネcarbone」があります。砂糖菓子なので甘いのですが、見た目が真っ黒なので、本当に炭みたいです。
現在では、いくら「悪い子」でも炭を靴下に入れられることはありませんが、いたずらでこのカルボーネのお菓子が入ってくることも。
なんでも食べ物にしてしまうあたり、イタリアらしくて、楽しいですね。
どこまでも、お祭りを楽しもうという心意気が感じられます。
さいごに
Photo by Yukako
イタリアのクリスマスシーズンは本当に長いです。12月7日から1月6日までなので、なんと約1ヶ月!
イタリア人にとって、クリスマスがいかに大事なお祭りであるかがわかります。
1月6日が終わると、子どもたちは学校が始まりますが、大人にとっては嬉しいセールの時期が始まります。
様々なイベントを楽しむことが上手なイタリア。いつ訪れても、楽しみが溢れていますね!
この記事を書いた人
YUKAKO
夫の転勤に伴い、ローマに1歳の娘を連れて渡伊。イタリア人の子ども好きで面倒見の良さに感激する。また、現地のイタリア料理教室にも通い、イタリア料理の奥深さに触れる。子育て中の母親の視点、また料理好きの視点で、イタリアの魅力をお届けできればと思います。
YUKAKOの他の記事を読む