ヨーロッパの人は長いバカンスを過ごすということを耳にすることがあります。最近では変わってきてはいるものの、短いお休みしか取れない日本人には羨ましい限り。その実態はどうなのでしょうか、そして旅行先はどこなのでしょうか。
3回あるイタリアの長期休暇?
国民の祝日
まず、イタリアの国民の祝日を見てみましょう。合計で12日あります。これに各都市特有の休み(守護聖人の日)が追加されます。
- 1月1日 元日 Capodanno
- 1月6日 御公現の祝日 Epifania
- 4月4日(2021)春分の日以降、最初の満月から数えて最初の日曜日 復活祭 Pasqua
- 4月5日(2021)復活祭の翌日 Pasquetta
- 4月25日 イタリア解放記念日 Anniversario della Liberazione d’Italia
- 5月1日 メーデー Festa del Lavoro
- 6月2日 共和国建国記念日 Festa della Repubblica
- 8月15日 聖母被昇天祭 Ferragosto
- 11月1日 諸聖人の日 Tutti Santi
- 12月8日 聖母無原罪の御宿りの日 Immacolata Concezione
- 12月25日 クリスマス Natale
- 12月26日 聖ステファノの日 Santo Stefano
代表的な都市の守護聖人の日はこちら。
- 4月25日(聖マルコ)ー ヴェネツィア
- 6月24日(聖ジョヴァンニ)ー フィレンツェ、ジェノバ 、トリノ
- 6月29日(聖ピエトロと聖パオロ)ー ローマ
- 12月7日(聖タンブロージョ)ー ミラノ
手厚い福利厚生
これに加え、雇用される場合は最低20日の有給休暇が保証され、契約によってはそれが28日になります。
さらに、年間104時間の労働時間短縮が認められ、病院に行ったり用事を足したりすることができます。筆者の働いていた会社では、夏季の間の金曜日は14時までの勤務でした(管理職を除く)。
これらを組み合わせると。。。
さて、これらの休日を組み合わせて行くのがヴァカンス、イタリア語で Vacanza! 旅行好きな人は、休みを上手に組み合わせて、年に 3回も長期休暇に出かけます。もちろん、時期によって休めない仕事についている人も多いでしょうから、皆がそうとは言いませんが。。。
⇨1回目: 4月末から5月頭にかけて、イタリア開放記念日とメーデーを組み合わせるパターン。パスクア(復活祭・イースター)の日程によっては2−3週間にもできる休日
⇨2回目: 8月15日のフェラゴスト(聖母被昇天祭)はまさに国民の休日。一部の観光業や 24時間営業のスーパーなどを除き、全てのお店が閉まります。ここを挟んだ 2−4週間は、文字通りの夏休み。多くのレストランやバーは 8月は休業します。
⇨3回目: クリスマスから翌年エピファニアまで。12月にもなるとクリスマスの雰囲気が漂ってきて、人もまばらになり始めます。そしてそれは翌年の1月6日まで続きます。
イタリア人の人気旅行先は?
では休みを利用して何をしているんでしょうか?ISAT(イタリア国立統計研究所)の2018年の統計によれば、約70.1百万人が一泊以上の旅行に出かけ(出張を除く)、約83.6百万人が日帰り旅行に出かけています。これを、国民一人当たりに平均するとそれぞれ1.16回と1.39回。宿泊を伴う旅行の平均泊数は5.7泊。
人気の旅行先は8割(79.3%)がイタリア国内。海外旅行をせずとも海に山に美しい行き先に恵まれたイタリアらしい統計です。
特に夏の間はプーリア州(13.1%)が人気で、エミリア・ロマーニャ州(9.9%)がそれに続きます。
プーリア州のビーチ
一方冬になると有名スキーリゾートの多いトレンティーノ・アルト・アディジェ州(31.0%)が圧倒の人気です。
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トレンティーノの雪山
また秋はミラノのあるロンバルディア州(14.2%)、春はトスカーナ州(14.1%)と、地域性が出ているのが面白いですね。
有名なトスカーナの一本杉
残りの2割(20.7%)が国外への旅行となりますがそのほとんど(83.5%)がヨーロッパで、特に短期旅行はフランス、長期滞在型はスペイン。残り(16.5%)がそれ以外で主にアメリカ合衆国のようです。
秋のエッフェル塔
日本の名前は本統計には登場しませんでしたが、日本側の統計によると年間にイタリアから日本を訪れたイタリア人は2018年で15万人程度のようで、絶対的には少ないですが、年々増加の傾向です(2020年を除く)。
ITALIAMO編集部