オーストリアに隣接したイタリア最北端、トレンティーノ・アルト・アディジェ州の州都 トレント

他の地域とは一味違ったイタリア北部、トレンティーノ・アルト・アディジェ州。イタリアなのにオーストリアやドイツを思わせる州の州都、トレントってどんな町?

トレンティーノ・アルト・アディジェ州の州都 トレント

イタリア北東部にある町トレント。オーストリアとの国境に接し、山岳・森林地帯が州の半分をしめるトレンティーノ・アルト・アディジェ州の州都です。州都とはいえど、ローマやミラノなどの大都市に比べるとこじんまりしていますが、古代ローマ時代に発展したこの町は、現代でも歴史情緒に溢れています。緑の木々や山にも囲まれ、町の西側にはアディジェ川が流れる古都。オーストリアやドイツのような雰囲気とイタリアの雰囲気がまざった、イタリアでありながら良い意味でイタリアらしくない、そんな雰囲気が感じられる町です。

トレントで欠かせない3つの場所

トレントには歴史的、芸術的に見るものがたくさんありますが、今回は外せない見所3つをご紹介したいと思います。

旧市街

トレントのおもな見所は町の中心部に集中しています。トレント駅から町の中心ドゥオーモ広場までは徒歩約10分。ドゥオーモ広場には、ロマネスク様式のドゥオーモ、司教区博物館のあるプレトリオ宮殿が立ち並びます。ドゥオーモ広場の中心には18世紀のネプチューン噴水があり、水の流れが途切れないシステムが特徴的です。また、プレトリオ宮殿から道をへだてたところには外壁がフレスコ画で飾られているレッラ邸があります。ドゥオーモ広場からは、フレスコ画が特徴的なルネサンス様式の館が点在するショッピングストリート、ベレンツァーニ通りが続きます。

町の中心、ドゥオーモ広場。左側の建物がプレトリオ宮殿、右側はドゥオーモ。ドゥオーモ手前に見えるのはネプチューン噴水です。


フレスコ画が残るレッラ邸の外壁

ブオンコンシリオ城

トレント最大の見所といわれているブオンコンシリオ城。18世紀まで領主司教の居城として用いられていました。さまざまな時代の建物で構成されており、内部の展示内容は考古学に特化したものから現代美術に特化したものまでと、多岐にわたっています。円筒形の塔をもつカステルヴェッキオ(旧城)は城内で最も古い時代の建物。次に16世紀の建築であるマーニョ宮、そして17世紀後半のジュンタ・アルベルティアーナ、後期ゴシック建築のアクイラ塔があります。アクイラ塔内部にはフレスコ画の連作「12の月」が描かれており、中世の農民や貴族の日常生活を題材としたフレスコ画を堪能できます。

正面からみたブオンコンシリオ城。左奥に見えるのは、カステルヴェッキオの円筒形の塔。


マーニョ宮へは中庭を通って進みます。

科学博物館MUSE

科学博物館MUSEは2013年に開館した、ドロミテの地質学的発展、氷河、気候、動植物の生態系などを知れる博物館です。レンツォ・ピアーノ氏によって設計された美しい近代的な建物になっています。

動物のはく製の展示。大きな吹き抜けで空中に吊るされている面白い展示方法。

まるで本物の人間のよう。当時の人々を再現した人形の展示です。


植物園エリアも見応えがあります。

ロープウェイで高台へ

ロープウェイで高台へ登ると、サルダーニャという集落にたどり着きます。トレントの町を見下ろすパノラマは、息をのむような美しさ。トレント滞在の際、時間に余裕があれば足を延ばしてみてはいかがでしょうか。


サルダーニャで発見したぶどう畑

アディジェ川、トレントの町、山々を一望できる景色。お天気が良い日は、青・白・緑のコントラストを楽しめます。

カネーデルリ

地域によって特色がでるイタリア料理。トレンティーノ・アルト・アディジェ州は、国境を接したオーストリアの影響を感じさせる料理が多めです。今回はそのうちのひとつ、カネーデルリ(canederli)をご紹介します。

カネーデルリは、スペック(燻製された生ハムの一種)、パン、チーズ、肉、野菜などをまぜてつくるお団子のようなお料理です。ドイツ語ではクネーデル(Knödel)と呼ばれており、ドイツ、オーストリア、トレンティーノ・アルト・アディジェ州の伝統料理。イタリアでは、プリモピアット(前菜の後に食べるパスタやリゾットなど炭水化物中心の料理)としてよく食べられます。

トレントのForsterbräuというレストラン兼ビアホールで食べたカネーデルリ。3種類のカネーデルリが楽しめる一皿です。

ベーシックなレシピ、カネーデルリ・イン・ブロード。カネーデルリをスープと食べる料理です。スーパーで購入した小さめのカネーデルリをスープにいれていただきました。

 

この記事を書いた人
MAYUKO
初めての海外旅行で訪れたのはイタリア。そこからどんどんイタリアにのめり込み、大学院在学中にイタリア留学を決意。大学院での研究テーマはジュゼッペ・ヴェルディ。一度は日本へ帰国・就職するも、イタリアへの想いが忘れられず、2019年に再びイタリアへ戻ることを決意。現在ミラノ郊外在住。
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