全てが美味しい泡・白・赤!そして食後酒グラッパまで生み出すイタリアトップクラスの生産量ヴェネト
2000種あるというイタリアのぶどう
イタリアワインの特徴の一つはその多様性でしょう。古代ギリシャ人が「エノトリア・テルス(ワインの大地)」と名付けたように、もともとワイン造りに適しているイタリアの大地ですが、この多様性が生まれたのにはいくつか理由がありました。
- 1861年にイタリア王国として一つの国に統一されるまで、各地に独立した小都市国家があったこと。それぞれに歴史的背景や異なる文化を持ち、それぞれの地で多様なブドウ品種が生育され、独自の発展を遂げた。
- 多彩なテロワールがあること。北部国境にはアルプス山脈、半島を南北に走るアペニン山脈。半島を囲むティレニア海、アドリア海、イオニア海。そこに注ぐポー川やアルノ川、さらにアルプス山麓の湖水地方などの水源。パダーナ平野を筆頭とする平野部の農業地帯。
- 地産地消が根付いているため、マイナーな品種であってもその地で消費され、その地のものと組み合わせて(マリアージュして)さらに個性に磨きがかかることに。
イタリアの地図(左は州と主要都市、右はNASAによる航空写真ー山脈と平野、海がよくわかる)
水の都のそばにあったワインのトップ生産地
イタリア北東にあるヴェネト州は、水の都ヴェネツィアを州都にもつ一方で、冷たい北風をブロックするアルプス山脈と南部に面するアドリア海のおかげで温暖な気候を保つワインの産地です。イタリアの中では、トップクラスのワイン生産量を誇る大ワイン産地ですが、白ワインの生産が約8割となっています。
水の都ヴェネチア
トレヴィーゾを中心とする地域 プロセッコ
ヴェネト州とフリウリ=ヴェネツィア・ジューリア州にまたがって生産されるのは、爽やかでドライながらほんのり甘口のスパークリング白ワイン「プロセッコ(Prosecco)」。軽さのある飲みやすさとリーズナブルな価格から、世界で最も売れているスパークリングワインです。グレーラ(プロセッコ)種を使用していて、タンク内で二次発酵を行うシャルマ方式で造られます(ロンバルディア州のフランチャコルタ、フランスのシャンパーニュ、スペインのカヴァなどは瓶内二次発酵)。
魚介料理に合うだけでなく、食前酒やアペリティーボ用ドリンクとしても大人気で、特にプロセッコを使用したカクテル アペロールスピリッツは定番中の定番です。
ヴェローナ近郊東 ソアヴェ
ワインと同名の、城壁に囲まれた小さな美しい街ソアヴェを囲むようにぶどう畑が広がる美しい丘陵地帯で生まれるのが「ソアヴェ(Soave)」ワイン。ヴェネトを代表する品種ガルガネガをベースに、トレビアーノやシャルドネを最大30%までブレンドした、上品な果実味とフレッシュさのある白ワインもしくはスパークリング白ワインです。
ヴェローナ近郊北 アマローネ
ヴェネト州を代表する赤ワインはなんといっても「アマローネ(Amarone)」でしょう。土着品種のコルヴィーナ、ロンディネッラ、モリナーラなどのブドウをブレンドして造られる「ヴァルポリチェッラ(Valpolicella)」の中でも特別なワインで、収穫されたぶどうを3−4ヶ月かけて陰干しし糖度を濃縮してから造るため、苦味のあるチョコレートのようなエレガントで上品な味わいが生まれます。Amaro とは、日本人にとって amore や甘いを連想させる言葉ですが、イタリア語では苦いを意味します。
食後酒 グラッパ
ヴェネト州では、ワインを造る際に余ったぶどうの皮を使う蒸留酒であるグラッパの生産も盛んです。食後酒として飲まれるほか、エスプレッソに注いだカフェコレットといった飲まれ方もします。アルコール度が30-60度と高く、飲み過ぎには要注意!
グラッパ博物館のあるバッサーノ・デル・グラッパの街(Wikipediaより)
初心者のためのイタリアワインの選び方は、格付編、生産地編(格式と自由が混在するトスカーナ)、生産地編(バローロだけじゃないピエモンテ)、生産地編(泡も白も赤もグラッパまであるヴェネト)、泡編がありますので、そちらも合わせてご覧ください。
ライター ITALIAMO編集部