日本からイタリアにものを送る場合の主要ルールについて
概論:輸出入にかかる関税と消費税
輸出免税(日本を出るとき)
輸出には関税がかからず、また、輸出取引は消費税が免除となります。輸出のための仕入商品や、輸出業務、事業にかかった諸経費への国内消費税は、所轄の税務署長に申請することで還付を受けることができます。
輸入関税・付加価値税(EUに入るとき)
EUにモノが輸入されるときには、関税及び付加価値税(VAT:消費税のこと)がかかります。
関税は、CIF価格(Cost/Insurance/Freight:運賃・輸送保険込み価格)をベースに計算されます。ここでいう価格ですが、販売品に限らず、贈答品や無償品であっても通関申告上の価格はゼロではなく、市場価格を申告しそれに対して関税が課税されます(※)。関税は、日欧EPAが2019年に効力を発生したことで、簡単な自己申告をすれば、全てではありませんが多くの物品が関税免除になります。
付加価値税は、イタリアの場合は、申告価格+運賃+関税の合計額に対して22%です。
また、これに加え、上記手続きにかかる手数料がかかりますが、金額は輸送業者によって異なります。
ただ、これまでの筆者の経験では
- 通関書類に記載されている請求額がゼロ
- 通関書類には金額が記載されているものの、何も請求されなかった
- 通関書類に記載されている通りの金額を、受け取り時点または通関時点で請求された
の3通りがありますので、実際の運用はセオリー通りにはいかないようです。
VAT免税規定の改定(2021年7月から)
パンデミックのため施行が半年遅れたものの、2021年7月から新しい制度が適用されることになりました。
イタリアを含むEU域内に、EU域外から物品を輸入するとき、これまでは22ユーロを上限としてVATが免税でした。この仕組みは、元々は小さい取引による通関事務の負荷を減らすために導入されましたが、Eコマースの拡大、価値を少なく申告して脱税する業者などの存在により、年間約70億ユーロ(約1兆円弱)の税収入を失っていました。また、EU域内取引では免税は適用されないため、域内プレーヤーにとってはディスアドバンテージとなる仕組みでした。
この状況を改善するために、22ユーロの上限は撤廃され、全ての取引にVATが適用される旨ルールの変更がありました。同時に、VAT支払いを簡単にするため、150ユーロを上限とする取引に対しIMPORT ONE STOP SHOP(IOSS)という制度が誕生しています。
(※)個人間の取引
個人間の取引については、従来から45ユーロまでは免税です。ところが、運用に関しては必ずしも徹底されていないというのが現状のようです。
参考サイト(英語) European Comission Postal operators and couriers 及び EU Customs formalities for low value consignments
ITALIAMO編集部