ミケランジェロのダヴィデ像に使われている大理石の産地と名産品とは
質のよい大理石の産地カッラーラ
洗練されたインテリアに欠かせない大理石。イタリア語の Marmo/英語の Marble は古代ギリシャ語の「Marmaros マルマロス = 輝く石」、昔中国にあった大理石の産出地「大理国」、にその名の由来を持ちます。
大理石は石灰岩が結晶化してできる自然石で、何百万年もの間地中にひっそりと埋もれています。場所と環境によって特徴が異なり、古来より良質な大理石の生産地として知られるのがイタリア。中でもカッラーラ・ビアンコと呼ばれる白大理石で著名なのがカッラーラ(Carrara)です。イタリア半島西部のトスカーナ州とリグーリア州の境、海沿いから内陸に約10キロ行くとアプアナ山脈の大理石山郡に到着します。
ローマ時代から採石がされており、建築材料や墓石として使用されていました。そして彫刻の材料としても使われ、ルネッサンスの偉大な芸術家ミケランジェロもカッラーラにやってきて石を選んだそうです。そして完成したものが有名なダヴィデ像。
フィレンツェのアカデミア美術館に収蔵
また、カッラーラの大理石採石場は「007/慰めの報酬」のカーチェースのシーンに登場しています。
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山の中へ
大理石は内部から切り出しますが、その中の採石場・洞窟に入ることができます(※)。
洞窟の中へ数百メートル入って行く(送迎付き)
内部は昔は大理石だったのだろう、中が切り出され空洞になっている。つまり洞窟とは言っても石を切り出した後の空洞のこと。切り出しが進むことによる山の崩壊が懸念されており、それを防ぐために、切り出しは慎重にすすめられ採石量には上限が決められている。そう遠くない将来に、カッラーラの大理石が手に入らなくなる日が来るかもしれない。
ミケランジェロが描いたシスティーナ礼拝堂天井画「アダムの創造」が描かれている壁が、いかにもイタリアらしい
ケーブだからだろうか、ワインケーブ(地下にあるセラーのこと)をモチーフにしたデコレーションがされている。これもイタリアらしいが、一方でボトルエチケット(ラベル)がフランスの有名シャンパンドン・ペリニヨンに似ているような、、、
切り出された大理石、カッラーラの街にはこんな石置き場があらゆるところにある
※営業時間などは事前にご確認ください。
カッラーラの名産品
カラーラにある分離集落のひとつコロンナータでは、コンカと呼ばれる大理石の入れ物を使用して作られるラルド・ディ・コロンナータ(Lardo di Colonnata)という豚の背脂の塩漬けが名産です。その起源は2000年以上前にさかのぼり、当時大理石加工に従事していたギリシャ人が考案、彼らのエネルギー源となっていたと言われています。
豚の背脂に塩・こしょうと、ニンニク・ローズマリー・セージなどのハーブをすりこみ、コンカの中で6か月以上寝かせてラルドが出来上がります。IGP 認定(保護指定地域表示あるいは地理的表示保護)を受けた地域の名産であり、高級食材です。
カットしてそのままハムのように、またはパンにのせたり、または食材にのせたり使ったりしていただきます。
薄切りにしてパンにのせ、ジャム、バルサミコ酢などとともにシンプルにいただく。見た目よりあっさりしていて食べやすい
コンカにて塩漬け中ののラルド(写真はQualigeoより引用)
ライター ITALIAMO編集部