イタリアの家庭の食卓に毎回並ぶのは、パスタでなくパンでした。特別な日ではなく、イタリア一般家庭の普段の食卓に並ぶのはどんなもの?
イタリア料理のイメージ
イタリア料理といえば、多くの日本人が想像するのはパスタやピッツァ。イタリアに詳しい方であれば、アンティパスト(前菜)、プリモピアット(パスタ、リゾットなど)、セコンドピアット(肉や魚料理)、コントルノ(付け合わせの野菜)、ドルチェ(デザート)などを思い浮かべることでしょう。
では、イタリアの一般家庭では、毎日このフルコースを食卓に並べているのでしょうか。イタリアの家庭と一口にいっても、日本と同じように、地域によって異なることはもちろんのこと、家庭によっても違いがあるかと思います。
今回は、ローマと北イタリアの2家族にお世話になった筆者の経験を元に、特別な日ではなく、日常的にイタリアの家庭の食卓に並ぶものをご紹介します。
食卓に欠かせないものはパスタではなくパン
日本において、イタリア料理といえばパスタ!というイメージがあるように、筆者もイタリアで生活する前、イタリアではパンが毎回食卓に並ぶものということを知りませんでした。旅行でイタリアに訪れた際、レストランではいつもパンが置かれましたが、それはレストランだからだと思っていました。しかし、家庭でも常にパンが食卓に並ぶのです。日本でいうとご飯の立ち位置にパンがいるのです。パスタを食べるときも、お肉や魚を食べる時も、野菜を食べるときも、パンが一緒に食べられるのです。パスタはどちらかといえば、うどんやそばのような立ち位置。筆者がイタリア人家族に日本食をふるまった際にも、食卓にはパンが並べられました。事前にパンは必要ないとは伝えたものの、念の為ということで置いたようです。
マンマが焼いた自家製パン。現在お世話になっている家では、週に1回マンマがオーブンでパンを焼いています。近所のパン屋さんでもパンを購入していますが、パンの消費量が多いため、少しでも節約できるよう週に1度は自分で焼くとのこと。
毎日フルコースを食べているとは限らない
イタリアの一般家庭では、毎食フルコースが食べられているわけではありません。もちろん、日によっては前菜からドルチェまでフルコースで食べる日もあります。しかし、普段は「プリモピアットとセコンドピアットとコントルノ」、「プリモピアットとコントルノ、物足りなかったらチーズなど」、「セコンドピアットとコントルノ」という組み合わせが多いです。例えば、パスタの後にお肉料理と付け合せの野菜を食べる日もあれば、お魚料理と付け合せの野菜だけの日、簡単に済ませたい日は買ってきた生ハムやチーズをパンと食べるだけなんて日も。ピッツァが食卓に並ぶこともあります。
普段は市販のパスタを食べますが、時間があるときはパスタから手作り。
ラグーのパスタ
そば粉が使われているピッツォッケリというパスタ
サフランを使った、リゾット・アッラ・ミラネーゼ
インサラータ・ディ・リーゾ。チーズやオリーブ、お肉や野菜などを入れた、ライスサラダ。イタリアでは夏によく食べられています。
形が少し歪な自家製ニョッキ。
かぼちゃのスープ。スープは、パスタやリゾットのようにプリモピアットになります。
ローストしたお肉とトマトの肉詰め
ヴィテッロ・トンナート。仔牛肉にツナソースをかけた料理。
スペッツァティーノと呼ばれる角切り肉をじっくり煮込んだ料理。写真はトマトベースのソースでじゃがいもと一緒に煮込んだものです。
冷蔵庫には常に数種類のチーズがストックされています。
付け合せの野菜とチーズ。プリモピアットを食べたあと、少し物足りなかったので、常備のチーズを少し切り、野菜と一緒にいただきました。
スーパーで切ってもらった量り売りのハムとスライスパックされている生ハムたち。すぐ食べるときは、量り売りのものを買い、すぐ食べないときはパックされているものを買っています。何かのお料理に使う時もありますが、そのままパンや付け合せの野菜と一緒にもよく食べられます。
付け合せの野菜は、生野菜や茹でた野菜を塩やオリーブオイル等であえたシンプルな味付け。イタリアではあまりドレッシングは使われていません。
近所のピッツェリアでテイクアウトしたピッツァ。写真は、4人前の大きいピッツァで4つの味を選べるものです。
食後にはフルーツ、ドルチェ、エスプレッソ
食事の最後には、フルーツやドルチェなどを食べ、締めにエスプレッソを飲むことが多いです。お好みによって食後酒を飲むことも。ドルチェは毎回食べるわけではありませんが、フルーツは必ずといっていいほど食卓に並びます。秋には、食後に栗を食べることも。オーブンで栗を焼くため、栗が食べられて家も暖まる、一石二鳥です。
市場やスーパーで購入したフルーツ。食後以外にも、朝やおやつに食べることもあります。
ジャムを使ったタルト、クロスタータ。
秋の味覚の栗。秋になると、道端で売られている焼き栗もよく目にします。
この記事を書いた人
MAYUKO
初めての海外旅行で訪れたのはイタリア。そこからどんどんイタリアにのめり込み、大学院在学中にイタリア留学を決意。大学院での研究テーマはジュゼッペ・ヴェルディ。一度は日本へ帰国・就職するも、イタリアへの想いが忘れられず、2019年に再びイタリアへ戻ることを決意。現在ミラノ郊外在住。
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