ヘルシーイメージを追い風に成長する水市場 あなたはイタリアで人気の水ブランドをいくつ知っていますか?
水の宝庫 イタリア
イタリア人は1日に平均約2リットルの水分を飲みますが、その8割が水というほど、水消費が多い国です(アルコール類を除く)。レストランでまず最初に聞かれるのも「Naturale? Frizzante/Gessate? (炭酸なし水、炭酸入り水、どっち?)」。それもそのはず、イタリア北部にはアルプス山脈の大自然に育まれた名水の源泉が多くあり、南部に行けば火山の麓からミネラル豊富な水が湧き出す、水の宝庫なのです。
飲用水として販売されているものは全国で約500ブランドあり、一部の全国ブランドを除けばそのほとんどが地域のみで販売されるローカルなものです。というのは、水製品の単価は、小売価格で1リットル平均約20セント、つまり1.5リットルのペットボトルが30セント程度(日本円で38円位)と、他の飲料製品と比べ非常に安いため、物流費をかけて遠い土地に運んでいては商売が成り立たないことが大きな理由です。
人気の水ブランド
イタリアで最も水を売っている会社は隣国スイスに本社を置くネスレ。いずれもイタリアの水源からLevissima(レビッシマ)、Aqua Panna(アクア・パンナ)、日本でも有名な S.Pellegrino(サン・ペレグリーノ)などのプレミアムブランドから、 Vera(ベラ)といった汎用ブランドまで揃える総合戦略をとっています。
“Altissima, Purissima, Levissima” というフレーズで宣伝されるレビッシマは中でも基幹ブランドで、アルプスの高地から採取される清浄な水を売りにしているだけでなく、その山(毎日の人生)に登る一人一人の消費者を応援する “Everyday Clibmers” のためのブランドとして人気を集めています。
次が、Sant’Anna(サン・タナ)という1990年代に作られた比較的新しいイタリアの会社。ナトリウムの含有量が少なく、赤ちゃんにも優しい水というマーケティングで、競争の厳しい水市場であっという間にトップクラスに躍り出ました。
そして、San Benedetto(サン・ベネデット)というこちらもイタリアの会社。お茶やジュースに加え、サントリーが商標を保有するシュエップスやエネルゲードなどの製造・販売も行う総合飲料会社です。こちらの広告では、ECOボトルを強調した宣伝を行っています。
環境への取り組み 水を買う習慣は継続するのか?
これまで水ブランドの話をしてきましたが、水道水の飲用も一般的で、お金を出すより水道水のほうが美味しいという人もいます。また、環境問題からペットボトル製品に逆風が吹くなか、街にある給水所で水をくむ、そんな動きも生まれています。今後の消費者の関心はどこへ行くのか興味深いところです。
街にある給水所
“Tapwater is cool” 水道水はカッコいい というキャッチフレーズで売られている水筒。ボトルには街の給水所の場所が書かれている。€16とややお高め。
ライター
ITALIAMO編集部