今週のイタリアの話題は?
8月22日週まとめ
今週のイタリアのヘッドラインは、先週と同じくアフガニスタン情勢。8月31日の米軍撤退期限まで、何ができるのか何が起こるのか、世界中が注目していたところ、悲劇が起きてしまいました。かねてより、ISISによるテロの危険性から市民はカブール空港に近寄らないよう警告を出していた米軍ですが、8月26日、イスラム過激派ISIS-K(※)による2回の爆発がアフガニスタンの首都カブールの空港付近であり、米兵13名を含む市民約170名が死亡し、200名以上が負傷しました。
※ ISIS-K(イスラム国ホラサン):イラク・シリア・イスラム国(ISIS、自称イスラム国)系の武装勢力の分派組織
退避を進めるイタリアの輸送機もタリバンからの攻撃を受け(市民に対する威嚇という可能性も)、空軍女性パイロットのアンナマリアさんが見事回避。ミッション直前の彼女へのインタビューはこちらでみれます。
また、アフガニスタンからの難民が、アブルッツォ州ラクイラ県にあるアヴェッツァーノ(Avezzano)に到着。ここは2009年の大地震で大きな被害を出したところで、転用可能な施設があったのでしょう。以下の写真は受け入れ施設の様子です。イタリアにとって、難民は身近な話題なのです。
8月26日に発表されたのは、経営破たんしたアリタリア航空から運営を引き継ぐ新会社ITA(Italia Trasporto Aereo)の、10月15日からの正式運行開始。本件はイタリア政府の資金援助によって成り立っているため、欧州委員会の承認が必要だったのですが、その承認が得られたものです。これに伴い、10月15日以降に予定されている全アリタリア航空チケットは変更または返金することに。つまり、アリタリア便は正式になくなることになります。
アリタリア航空から52機と空港枠などを買取り、現在の従業員1万人のうち約3千人が再雇用され始動する新会社。ハブ空港はローマ・フィウミチーノ空港、第二のハブとしてミラノ・リナーテ空港。2021年の開業時には45都市、61路線を運航予定で、2025年には74都市への乗り入れを行うという計画。国内は21空港への乗り入れを計画しています。日本へは、羽田とローマを結ぶ一線が開業時から運行されます。
Covid関連ですが、再生産指数Rtが1.1まで低下し落ち着きを見せている感染状況ですが、シチリアがイエローゾーン入りすることになります。ただ、ゾーン分けの規制内容が変わっているので、実質的な影響は少ないものと思われます。
イエローゾーン:
- バーやレストラン、ホテル:ホワイトゾーンと同様の規制(=グリーンパス)
- 夜間夜間外出禁止令:ありません
- マスク:屋内に加え、屋外でも義務(ただし免除対象あり)
- 州外移動:ホワイトゾーンと同様の規制(=9月1日よりはグリーンパスが必要になる交通機関あり)
ポリシー:
イタリア社会の関心事についてバランスをもって事実を伝えることを目的とし、発行部数の多い全国一般紙 3紙(Corriere della Sera, La Repubblica, La Stampa)の、イタリア時間の午前のWebバージョンのトップニュースヘッドラインを日本語「意訳」とともにお伝えします(そのまま訳すと意味が通じないため)。
合わせて読みたい イタリアの新聞事情
ニュースヘッドライン
8月28日
カブールの悪夢終わらず:さらにテロ計画か
米軍撤退計画を予定通り進めるバイデン大統領に批難の声
A Kabul l’incubo non è ancora finito: i timori di un attacco ai marines in partenza
Accuse a Biden, sul ritiro non cambia idea
ISISテロリストをドローン攻撃 米国報復措置
Drone uccide terrorista dell’Isis. Gli Usa lanciano il primo attacco di rappresaglia
タリバンの銃撃から回避行動をとったパイロットアンナマリア・トリブーナ「緊急時対応は訓練している Cー130の操縦は怖くない」
8月27日
カブール空港で2度のカミカゼ攻撃
Isisの凶暴性、避難民の負傷と米国人の虐殺
バイデン涙「米国は決して許さない、実行犯を追い詰める」
Il doppio attacco kamikaze all’aeroporto di Kabul
La ferocia dell’Isis, la strage di sfollati e i feriti americani
Biden in lacrime in tv: non perdoneremo, vi daremo la caccia
米中央軍マッケンジー司令官「ロケットか車での攻撃の可能性」
Il generale Usa McKenzie: “Ci aspettiamo altri attacchi con razzi o autobomba”
アフガニスタン情勢 米国軍トップ「ロケットか車での攻撃の可能性」
Afghanistan, i vertici militari Usa: “Ci aspettiamo altri attacchi con razzi o autobomba”.
8月26日
カブール空港から出発する市民「15メートルの差で変わる未来」
Tra i civili in partenza all’aeroporto di Kabul: «Quei 15 metri tra noi e il futuro»
交通機関と民間企業へのグリーンパス義務:14.5百万人の未接種者をどう説得するか 義務化は1ヶ月内に判断
グリーンパス混乱:変わるルール、どうなる?全て答えます
Caos Green Pass: cambiano ancora le regole, come funzionerà? Tutte le risposte
8月25日
アフガニスタン避難民ヴェネトからカラブリアまで 難民受け入れ施設マップ
Gli afghani in fuga, dal Veneto alla Calabria: la mappa delle strutture che ospitano i rifugiati
隔離された労働者に給与カットのリスク:2週間で最大2000ユーロ
アフガニスタン バイデン米大統領G7の要求に応えず「8月31日までに米国人退避 テロのリスク高まる」 タリバン「アフガニスタン人の出国は認めない」
8月24日
アフガニスタン タリバン米国へ最後通告「作戦は8月31日まで」
Afghanistan, l’ultimatum dei talebani agli Usa: «Finite le operazioni il 31 agosto»
アマトリーチェ 未完成の建築現場
タリバン最後通告:7日間でカブールから離れよ
L’ultimatum dei taleban: via da Kabul in sette giorni
8月23日
バイデン米大統領「3万3千人カブールから移動 前例のない努力」 G7人道的危機への対応
ディ・マイオ外相「イタリアは2千5百人」の難民受け入れ
Biden: «Via da Kabul 33.000 persone, sforzo senza precedenti». G7 sulla crisi umanitaria
Di Maio: «L’Italia accoglierà 2.500 profughi»
マスード「タリバンと戦う 決してあきらめない」
バイデン米大統領「進捗しているがカブールからの映像は見るに耐えない」
※ マスード:過去の反タリバン闘争で最も有名な指揮官だった故アフマド・シャー・マスード(Ahmad Shah Massoud)元国防相の息子
Massud: “Combatto contro i talebani. E non mi arrenderò” | Biden: “Stiamo facendo progressi. Soffro per le immagini da Kabul”
アフガニスタン情勢バイデン米大統領「避難は困難で危険、テロの可能性 イタリアのような同盟国に感謝」
8月22日
アフガニスタン ISISの悪夢とカブールの混乱「空港に来ないで」
Afganistan, caos a Kabul con l’incubo dell’Isis. Gli Usa: <Non venite in aeroporto>
アフガニスタン 米国ISIS侵入を警戒 マスード「降伏せず抵抗を」
地下に埋もれるアフガニスタンのアヘンや宝物 タリバンの手にある貴金属
Non solo oppio, il tesoro afghano è nel sottosuolo. I metalli preziosi in mano ai taleban
ITALIAMO編集部