ミラノで100年以上の歴史をもつトラム
単なる移動手段だけでなく、食事を楽しみながらミラノ市内をめぐるトラムレストランとは
※2021年1月現在、新型コロナウイルスの影響でトラムレストランは運行を停止しております。この記事の内容は、新型コロナウイルスの感染拡大前に運行していたトラムレストランの情報になります。
ATMosfera(アトモスフェーラ)とは
ATMosferaとは、ミラノの公共交通機関であるATM(Azienda Trasporti Milanesi)が運営するトラムレストランです。運営会社の略称ATMとイタリア語で雰囲気やムードを意味する“atmosfera”をかけて名付けられました。トラムとは路面電車のことで、ミラノでは1893年に最初のトラムが誕生し、今では移動に欠かせない人々の足となる存在です。トラムレストランには、歴史のあるクラシックな車両2台が使用されています。オリジナルの構造を維持しながら、快適に過ごせるように改装されており、やや狭さは感じますが高級列車の食堂車という雰囲気。ディナーの運行は、20時発と20時半発の2便で、約2時間半をかけてミラノ市内ほぼ全域をめぐります。トラムレストラン開始直後はディナー運行のみでしたが、今ではブランチの運行もあり、ブランチは11時半発で約2時間の内容になります。トラムレストランは貸切することもできるため、イタリア人の中には、トラムレストランを貸し切って誕生日会やパーティーなどをする人もいるそうです。
Photo by MAYUKO
スフォルツェスコ城近くのカステッロ広場からスタートし、ドゥオーモやスカラ座といったミラノの主要観光地や、再開発で高層ビルが立ち並ぶガリバルディ地区、運河のナヴィリオ地区など、ミラノ全域をめぐります。最後は出発地点のスフォルツェスコ城前で下車になります。
Photo by MAYUKO
4人用のテーブルと2人用のテーブルがそれぞれ4つずつあり、1車両で最大24人が乗車できます。運転手、キッチン、ホールの担当はそれぞれ1人ずつになります。車内にはキッチン、トイレも併設されています。
予約方法とメニューについて
トラムレストランは、オンライン上で予約サイトから予約することができます。基本的に、参加者人数は偶数での予約を受け付けていますが、希望日時の7日前から74時間前までの間であれば、奇数人数での予約が可能です。ディナーの料金は一人あたり70ユーロ。前菜、プリモピアット、セコンドピアット、デザートのほか、食前酒、ワインボトル(2人で1本)、ミネラルウォーターとエスプレッソも料金に含まれています。お料理は肉、魚、ベジタリアンの3つのコースから選ぶことができ、予約時に指定する必要があります。
ブランチの料金は一人あたり49ユーロ。ブランチメニューの詳細は予約時に表示されるようですが、基本的には甘いメニュー(パンケーキやビスケットなど)や甘くないメニュー(卵やベーコンとベーグルなど)が選択できるようです。
予約はこちらから(2021年1月現在は、政府規制により受け付けていません)
トラムの中の限られたキッチンシステムということで、お料理の質についてさまざまな口コミを読みましたが、筆者としては想像以上のクオリティで大満足でした。また、トラムが揺れる際に飲み物がこぼれたり、食事中に乗り物酔いをしないかも少し不安でしたが、意外と不便はなく、食事とミラノ市内車窓観光を満喫することができました。料金は高いと思われる方もいらっしゃるかと思いますが、フルコースの食事に加え、市内車窓観光、ウェイターの対応も良く、“一度は乗る価値がある”と思わせてくれる内容でした。
休憩タイムも
ディナーは約2時間半の乗車時間ですが、プリモピアットとセコンドピアットの間に10〜15分くらいの休憩タイムがあります。休憩中は、ドゥオーモの裏側にトラムが停車し、外に降りて写真を撮ったり、たばこを吸ったり、各々好きに過ごします。運転者やシェフ、ウェイターは観光客にも慣れていて、一緒に写真を撮ってくれたり、トラムの運転席に座らせてくれたりと、旅の思い出にはぴったり。
Photo by MAYUKO
なかなかトラムの運転席に座る機会はないと思いますが、トラムレストランの休憩中には、運転席に座って写真を撮ることができます!
休憩後は、ミラノ市内めぐりを再開し、セコンドピアットとデザートを食べながら出発点でもあるスフォルツェスコ城前に戻ります。ミラノ通の方も、ミラノは初めてという方も、ぜひ一度はトラムレストランを体験してみてはいかがでしょうか。ミラノの新しい一面を発見できるかもしれません!
トラムの車窓から見えるドゥオーモ Photo by MAYUKO
この記事を書いた人
MAYUKO
初めての海外旅行で訪れたのはイタリア。そこからどんどんイタリアにのめり込み、大学院在学中にイタリア留学を決意。大学院での研究テーマはジュゼッペ・ヴェルディ。一度は日本へ帰国・就職するも、イタリアへの想いが忘れられず、2019年に再びイタリアへ戻ることを決意。現在ミラノ郊外在住。
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