ミラノ徹底解剖 歴史地区から西のデ・アンジェリ地区とシティ・ライフ地区へ

イタリアで一番の商業都市と言われるミラノ。日本で言うなら東京ですね。そんなミラノと東京の類似点や規模を比較してみましょう。

 

シティ・ライフプロジェクト Photo by fanpage.it

ミラノの面積は、東京都23区の約3分の1弱、ざっと山手線の内側に江東区、墨田区、荒川区を含めたくらいです。人口密度は、東京都23区人口密度の2分の1。スッキリした印象を持ちがちですが、コロナ前の外国人訪問者数はどうでしょう。

2018年のデータでは、イタリアへの年間外国人訪問者が 6319万5203人(!)、日本への年間外国人訪問者は3119万1990人です。訪問者数では密度の比較はできませんが、それでも年間を通して街の密度が、訪問者抜きの通常密度より大幅に高くなるのは想像できますね。(参考: istat.it / 日本政府観光局(JNTO))




ミラノの各エリアを検証!

ミラノ市は、東京23区のように、9つの区域に分けられています。その中でも、観光施設、商業施設の一番多い、ミラノの中心ゾーン1から東西南北に、少し強引ではありますが、東京各地で当てはめてみましょう。

ミラノ9つのゾーン分布マップ Photo by fabbro24hmilano.com

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Zone1. 歴史地区から西のZone7. デ・アンジェリ地区とZone8. シティ・ライフ地区へ

Zone1. 歴史地区は、ドゥオモ、スフォルツェスコ城、サンタ マリア デッレ グラツィエ教会など、4世紀~の建造物、遺跡等が残る観光メイン地区、ミラノで最も人が集まるエリアです。

Zona7. デ・アンジェリ地区は、閑静な住宅街と程よいショッピングゾーン、サッカースタジアムのあるエリアです。

Zona8. シティ・ライフ地区は、ほぼ完成形の複合施設シティ・ライフと記念墓地、その先に大型居住区のあるエリアです。




ボッロメオ広場周辺を白山/谷根千に見立てる!?

ミラノ徹底解剖 歴史地区から南のティチネーゼ地区とナヴィリオ地区へでご紹介した賑やかなトリノ通りの北、ボッロメオ広場周辺は、雰囲気がガラリと変わりとても静かになります。アクセサリーや絵画、額縁、洋服など、個性的で職人的なお店や老舗のカフェやバールが点在します。石畳の道は細く迷路のように入り組み、風情を感じる街並みは、まるで谷根千界隈や白山花街の石畳のようです。

ボッケット通り Photo by blog.urbanfile.org

花街 白山1-11 Photo by xaymaca3.com

ボッロメオ広場には、フィレンツェ出身ボッロメオ家が居住していた13世紀建造の建物があり、近くには金融機関とイタリア証券取引所とマウリッツィオ・カテランの中指の像、そしてローマ、ヴァチカン博物館にあるラファエロ・サンティ作『アテネの学童』の下絵が展示された、アンブロジアーナ絵画館があります。

旧ボッロメオ家住居 Photo by commons.wikimedia.org

徳川綱重の屋敷地跡に18世紀造営された根津神社 Photo by gqjapan.jp

メルカンティ広場を上野/日本橋に見立てる!?

ドゥオモ正面のドゥオモ広場を越えると、メルカンティ広場があり、パラッツォ・デッラ・ラジョーネを中心に四方を14世紀~16世紀の歴史ある建物が囲みます。広場北にパラッツォ・ジュレスコンティ、西にカーザ・デイ・パニガローラ、南にロッジア・デッリ・オシイ、その隣にはパラッツォ・デッレ・スクオーレ・パラティーネ、そして東にマクドナルドの配置です。都内23区で歴史建造物が残るゾーンとなると上野周辺でしょうか。

ロッジア・デッリ・オシイ Photo by milanopocket.it

上野東照宮 Photo by jinjyagoshuin.com

メルカンティ広場のマクドナルドは、もちろん京都のマクドナルドのように控えめな外観ですよ。

メルカンティ広場のマクドナルド Photo by blog.urbanfile.org

京都東山三条のマクドナルド Photo by rubese.net

パラッツォ・デッラ・ラジョーネは、13~18世紀市庁舎として、市民の集会や市場、司法行政、商工会議所などに使用され、カーザ・デイ・パニガローラは、公の法令関連のオフィスとして、 パラッツォ・ジュレスコンティには、夜間外出禁止令や火災の発生、非難された者の処刑などを知らせる鐘があり(現在は時計に置き換えられています)、ロッジア・デッリ・オシイでは、市民に勅令と判決を、建物中央のバルコニー「パルレラ」から公表し、その判決により、受刑者は現在マクドナルドのある建物に監禁されていたようです。ちなみにその隣のエスプレッソメーカービアレッティのお店あたりは、裁判官の執務室でした。

日本では、江戸時代の行政、司法の役職を司る町奉行のあった東京駅や有楽町、商業の盛んだった日本橋界隈にあたるのでしょう。

パラッツォ・ジュレスコンティ(左) Photo by skyscrapercity.com

江戸東京博物館より Photo by shakaika.jp




コルドゥージオ広場~ダンテ通りを渋谷に見立てる!?

メルカンティ広場南、ロッジア・デッリ・オシイの裏手にはオレフィチ(金細工)通りがあります。その当時盛んだった商業の名前がそのまま通り名になっているのですね、アルモラーリ(武器職人)、スパダーリ(刀職人)、カッペラーリ(帽子職人)、モネタ(貨幣)などなど。

Photo by Jeera

金細工のオレフィチ通りを、ドゥオモを背にして進むとコルドゥージオ広場に出ます。2017年にオープンしたKFCケンタッキーフライドチキンを皮切りに、郵便局のあった建物が2018年スターバックス・リザーブ・ロースタリーに変わり、その向かいに翌年2019年ユニクロが店を構え、2022年フランスのデパート、ラファイエットが、2023年にはスペイン最大のホテルグループ、メリアホテルが、オープンを控えており、今まさに変わりつつある広場です。渋谷駅とその周辺の再開発、、よりはかなり規模は小さいですね、、

コルドゥージオ広場 Photo by milanoevents.it

渋谷スクランブル交差点 Photo by life-baton.cel-co.com

コルドゥージオ広場を越え、スフォルツェスコ城までの遊歩道がダンテ通りです。(正確には地下鉄カイロリ駅まで)。この通りは老舗も新しい店舗もごちゃ混ぜ、衣料品から化粧品、飲食店まで、お城を正面に眺めつつ歩く、観光客の王道ルートなためいつも賑やか。渋谷や新宿を思わせます。

センピオーネ公園を新宿御苑に見立てる!?

スフォルツェスコ城の奥には、ミラノ市民の憩いの場、センピオーネ公園の緑が広がります。40年ほど前までは、手入れの行き届いた芝生に入ることは禁止されていたそうですが、時代とともに気が付けば水着姿で日焼けを楽しむ若者がたくさん寝転んでいます。お城と直結しているため観光客も多く、新宿観光ついでに立ち寄る御苑のようです。

センピオーネ公園 Photo by paesionline.it

新宿御苑 Photo by ja.wikipedia.org

そしてセンピオーネ公園の北には中華街があり、アジア食材店や中華料理店、衣料、雑貨などの卸問屋がひしめき合っています。朱色、黄色のカラフルな街並みが楽しい横浜中華街のような観光地ではなく、数年前に整備されたとはいえ、庶民的でかっぱ橋道具街や東上野コリアンタウンに近い控えめな街並みです。

チャイナタウン パオロサルピ通り Photo by lunediacolazione.it

かっぱ橋道具街 Photo by san-tatsu.jp




メラヴィリ通り~マジェンタ通りを白金台のプラチナ通りに見立てる!?

コルドゥージオ広場とダンテ通りの間を左に曲がるとメラヴィリ通り。老舗の日用品、インテリア用品、リネン専門店、大きなお屋敷の並ぶ少し暗い通りの先に老舗お菓子屋があります。そこからマジェンタ通りと名前を変え、昔からのお店と新しくできたお店が調和した、雰囲気のよい通りになります。また路面電車のトラムが走るわりに、そして観光客がそこまで多くないため、のんびり穏やかな印象を持ちます。近所に住むミラネーゼが立ち話をしていたり、お茶している様子は、植栽のない白金台のプラチナ通りでしょうか。

16世紀のサン・マウリッツィオ教会やレオナルド・ダ・ヴィンチの最後の晩餐で有名なサンタ・マリア・デッレ・グラツィエ教会もこの通りにありますよ。

マジェンタ通り Photo by medium.com

白金台のプラチナ通り Photo by mitsui-chintai.co.jp

ヴェルチェッリ通り~ピエモンテ広場を渋谷/奥渋谷に見立てる!?

老舗カフェを過ぎ、そのまま西に進むとヴェルチェッリ通り、その先にピエモンテ広場があります。この辺りもその先のデ・アンジェリ界隈も、閑静な住宅街ゾーン。通りには品のよいブティックやセレクトショップから庶民派デパートやカジュアルショップ、子供服まで、映画館や劇場、とほどよく一通り揃うミラネーゼ御用達お買い物ゾーンの一つと言えるでしょう。そして小道に入るとおしゃれな個人店があったりと渋谷駅から代々木八幡駅方面への奥渋谷のようです。

Coin Photo by google.it

東急百貨店本店 2023年1月31日で閉店予定 Photo by google.it

Al Bazar Photo by shoppingmilanoroma.it

Seracci japin Photo by shibuyabooks.co.jp

デ・アンジェリゾーンを抜けると、ミラノのサッカーチーム、インテルとACミランの本拠地、サン・シーロ(ジュゼッペ・メアッツァ)スタジアムや競馬場、乗馬施設があり、シーズン中は賑やかになるエリアです。このスタジアム(とその周辺)、近々大がかりな改修工事が入り、劇的な変化を遂げる可能性のある楽しみな界隈です。スタジアムといえば東京ドームでしょうか。。

サン・シーロ(ジュゼッペ・メアッツァ)スタジアム Photo by ilmessaggero.it

東京ドーム Photo by sankeibiz.jp

さらに西へ進むと、大型公園と紡績と皮なめし工場で発展したバッジョエリアがあります。地下鉄M1赤線の終点ビッシェリエ駅から、このバッジョ地区までの路線延長プロジェクトの審議が、今年中に行われるとのことで今後の発展が気になりますね。




シティ・ライフ周辺を虎ノ門/麻布周辺に見立てる!?

デ・アンジェリゾーンの北には、2017年(以降)オープンの高層ビルと公園、住居、商業を含む複合施設シティ・ライフが、完成を目指し今も尚プロジェクト進行中です。2023年竣工予定の虎ノ門・麻布プロジェクトを連想させます。

シティ・ライフプロジェクト Photo by buildingcue.it

虎ノ門・麻布プロジェクト Photo by fashion-press.net

そしてシティ・ライフの近隣には、観光名所でもあるミラノ記念墓地があります。著名人のお墓が多い墓地といえば青山霊園ですね。

ミラノ記念墓地 Photo by fondazionemilano.eu

青山霊園 Photo by smtrc.jp

さらにゾーン北西に進むと、第二次世界大戦後の解体瓦礫を利用したモンテ・ステッラ公園、50年代~80年代の都市計画プロジェクトにより建てられたガララテーゼ、クアルトオッジャロの集合住宅ゾーンがあります。




さいごに

ミラノの歴史地区から西のデ・アンジェリ地区とシティ・ライフ地区は、中世の雰囲気が色濃く残るエリアから進化中のコルドゥージオ広場、その先のスフォルツェスコ城とセンピオーネ公園に中華街まで、そして西にミラネーゼ御用達お買い物ゾーンが続き、北には複合施設シティ・ライフと記念墓地があり、ゾーン奥にはスタジアムと大型公園、集合住宅が広がるエリアです。
歴史探訪の後に中華街でランチ、午後にウィンドーショッピングとアフタヌーン・ティー(カフェ?)、夜はビールとサラメッラのパニーノでサッカー観戦を、、だと欲張りすぎでしょうか。。

#北東部(ミラノ・トリノ)

 

この記事を書いた人
Jeera
2008年よりイタリア在住。ミラノ、サンタマルゲリータリグレ(リグーリア州)、カナゼイ=カナツェーイ(ドロミテ山脈、南チロル)の3都市より、イタリアの気になる楽しいおいしい情報をお伝えします♪
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