イタリアで一番の商業都市と言われるミラノ。日本で言うなら東京ですね。そんなミラノと東京の類似点や規模を比較してみましょう。
※9月26日に修正を行いました。
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どんな国でも首都はその国の中心。その国の中でも、人口密度高め、そして大抵商業をベースに発展していますね。イタリアはというと、首都はローマ、ミラノではありません。そう、首都ローマよりミラノの方が商業が発達しているのです。ローマは、位置的にも、方言や習慣的にも、日本で言う大阪にあたる雰囲気があります。
ミラノは首都にならないの?
ミラノの地は、西ローマ帝国時代に一度首都になりますが、その後は13世紀にヴィスコンティ家、15世紀にスフォルツァ家が統治するも、16世紀にはスペイン領、18世紀にはオーストリア領、19世紀一時にはフランス領とイタリア統一まで、首都どころかなかなか落ち着きません。島国の日本では戦国時代のようなものですね。
ちなみにイタリア統一後、ローマはすぐに首都にはなりません。最初にトリノ(1861年~1865年)、次にフィレンツェ(1865年~1871年)、その後ローマに変遷されます。
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それでもイタリアの経済を支えているミラノ!
首都には選ばれませんでしたが、ミラノはルネサンス期でも商業都市です。その証にドゥオモ周辺は、かつてその通りで盛んだった商いが、そのまま通り名として残っています。スパダーリ通り(剣)、ファリーネ通り(小麦粉)、モネタ通り(貨幣)、カペッラーリ通り(帽子)、メルカンティ通り(商人)、オレフィチ通り(金細工)などなど。そして現代では、ファッションショーや家具見本市なども開催される、ファッションとデザインの世界的な拠点となっています。
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ミラノの面積はどのくらい?
ミラノの属するロンバルディア州の面積は、23,863.65㎢、東京都の約11倍弱。ミラノの面積は、181.67㎢、東京都23区の約3分の1弱、ざっと山手線の内側に江東区、墨田区、荒川区を含めたくらいです。
そして人口は、 1,396,522人、東京都23区人口の約7分の1。人口密度は、7,687人/㎢、東京都23区人口密度の2分の1。これで少しミラノの規模が見えてきますね。
でも数字だけだと、なんだかとても広々したイメージになりますが、商業施設等が日本から比べると圧倒的に少ないため、土日は一部の地域に人が集中し、渋谷のスクランブル交差点並みに混み合うこともあります。
ちなみに地下鉄は現在5本(開通予定の1本含む)のみ、その分トラムとバスが網羅しています。またミラノ郊外へのローカル線や長距離線の主要発着駅は4つ、中央駅、ポルタ・ガリバルディ駅、カドルナ駅、ポルタ・ジェノバ駅です。
ミラノ地下鉄マップ Photo by atm.it
ミラノローカル線マップ Photo by trenord.it
ミラノの各エリアを検証!
ミラノ市は、東京23区のように、9つの区域に分けられています。その中でも、観光施設、商業施設の一番多い、ミラノの中心ゾーン1から東西南北に、少し強引ではありますが、東京各地で当てはめてみましょう。
ミラノ9つのゾーン分布マップ Photo by fabbro24hmilano.com
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Zone1. 歴史地区から北のZone.9ビコッカ地区へ
Zone1. 歴史地区は、ドゥオモ、スフォルツェスコ城、サンタ マリア デッレ グラツィエ教会など、4世紀~の建造物、遺跡等が残る観光メイン地区、ミラノで最も人が集まるエリアです。
Zone9.は、Zone1.の北、ポルタ・ガリバルディ地区より北に広がるエリア。商業施設、高層ビルを抜けると住宅街と大きな公園が広がります。
ドゥオモ~ガッレリアを浅草に見立てる!?
14世紀から500年以上かけて建設された、ゴシック様式のドゥオモ大聖堂と、建築家ジュゼッペ・メンゴーニによる19世紀完成のネオルネッサンス様式のアーケード、ガッレリア。浅草寺(ドゥオモ)と仲見世通り(ガッレリア)のコンビネーションのように、ドゥオモ大聖堂前の広場(境内)には、無数のハトが飛び交い(※)、イタリア統一を達成したヴィットリオ・エマヌエーレ2世像が、仏像のように周囲を見守っています。
このガッレリアは、鉄とガラスで作られており、ディズニーランドのワールドバザールも連想させますが、内部は、大理石のモザイクが敷き詰められ、老舗レストランやカフェ、ハイブランドショップ、ヨーロッパ初の7ツ星ホテルでまとめられていて、仲見世通りの庶民的な商店街の雰囲気は全くありません。
(※)現在、浅草寺境内にはハトはいないようです。
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ブレラ、サン・マルコ、ポルタ・ガリバルディ地区を代官山に見立てる!?
前述のガッレリアを北に抜けると、世界的巨匠レオナルド・ダ・ヴィンチ像のあるスカラ広場と、オペラで有名なスカラ座に出ます。その横を北へ進めばブレラ地区。ブレラ絵画館周辺の小道は石畳で風情ある街並みにレストランやカフェ、香水店、雑貨店などが続きます。昔、娼婦街だったとは想像できません。そんな小道をそぞろ歩きするかんじは代官山でしょう。
フィオーリ・キアーリ通り Photo by 4travel.jp
ログロード代官山 Photo by whenin.tokyo
ブレラ絵画館前は、美術学生で常に賑わっていますが、その先のサン・マルコゾーン、ソルフェリーノ通りには、靴屋やセレクトショップ、自然食品店がひっそり佇み、40~60代の女性がのんびり散歩しています。そこを並行するガリバルディ通りは、許可車のみ通行可能な交通規制地区です。飲食店が多く、昼時はサラリーマンとOLで賑わいます。
THE STORE ソルフェリーノ通り Photo by shoppingmap.it
HAUNT Photo by safarilounge.jp
さらに北へ進むと、日本でもお馴染みのイータリーのあるポルタ・ガリバルディ地区。コモ通りの30年ほど前は、夜になるとドラッグ売買xクラブで有名だったようですが、現在は、イメージが変わりつつあります。歩行者のみの遊歩道で、カフェやレストラン、老舗セレクトショップ、雑貨屋などがあります。平日の夕方以降は、ブレラ地区同様、仕事帰りにハッピーアワーを楽しむ人々で賑わいます。
イータリー Photo by gazzettadelgusto.it
蔦屋/スターバックス代官山 Photo by tripnote.jp
コモ通り Photo by marcorpageofficial.com
八幡通り Photo by travelbook.co.jp
コモ通りを直進するとポルタ・ガリバルディ駅前ですが、手前を少し逸れ緩やかな階段スロープを上るとガエ・アウレンティ広場に連結します。この広場は、2012年、年末に改築が終わったミラノではまだ新しいスポット。噴水を中心に、その周りは円状に商業施設と高層ビルで囲まれ、その隣には日本でも話題になった、植物だらけの高層マンション、ボスコ・ヴェルティカーレ、上空からの幾何学模様が美しい、木の図書館の名をもつビブリョテカ・デッリ・アルベリ公園の緑地が広がります。代官山の雰囲気を一掃して、小さな東京ミッドタウンといったところでしょうか。
ガエ・アウレンティ広場 Photo by vivimilano.corriere.it
東京ミッドタウン六本木 Photo by haveagood.holiday
ポルタ・ガリバルディ駅北側イゾラエリアも徐々に整備され、おしゃれなレストランやブルーノートが点在しています。その西にはミラノ工科大学、北には住宅街と大きな公園、2016年オープンのデジタルテクノロジーを駆使したスーパー、コープ・デル・フトゥーロがあります。
ブルーノートミラノ Photo by google.it
ブルーノート東京 Photo by google.it
さいごに
ミラノの歴史地区から北のビコッカ地区は、ハイブランド店等で華やかなガッレリアから、風情あるブレラ地区とひっそりおしゃれショップが点在するサン・マルコ地区、そしてサラリーマンやOLのランチ、ハッピーアワーで賑わうポルタ・ガリバルディ地区、さらに北へイゾラ地区、ビコッカ地区までです。サン・マルコ地区は、お昼休みのあるショップが多くなりますので、ランチをしっかり挟んで1日かけてのんびり散策したいですね。
この記事を書いた人
Jeera
2008年よりイタリア在住。ミラノ、サンタマルゲリータリグレ(リグーリア州)、カナゼイ=カナツェーイ(ドロミテ山脈、南チロル)の3都市より、イタリアの気になる楽しいおいしい情報をお伝えします♪
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