イタリアの「緑の心臓」とも呼ばれるウンブリア州にあるオルヴィエート(オルビエート(Orvieto))は、世界でも有数の美しい丘上都市として有名です。首都ローマから車で1時間半ほど、電車でのアクセスも便利です。
オルヴィエートはどんな街?
オルヴィエートは、古代ローマ時代以前よりエトルリア人が住んでいましたが、ローマ人に攻め落とされ、近隣に逃げました。
断崖絶壁の丘の上に街があり、石灰岩の崖の上に作られたオリーブ園、ワインブドウ畑に囲まれています。
スロウシティのシンボル、カタツムリ Photo by YUKAKO
また、スロウシティの加盟都市でもあり、同運動の本部が置かれています。スロウシティの加盟都市でもある前橋市とは姉妹都市でもありますよ。
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治安も良く、中世の趣を残したままの街は、散歩をしているだけでも楽しくなります。
オルヴィエートの見どころ
オルヴィエート大聖堂
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オルヴィエートの見どころは、やはりこの大聖堂です。
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かつてのローマ教皇が300年もかけて作らせたという、巨大な大聖堂。珍しいのは側面のボーダー柄。あまり見ないデザインですね。
正面のファサードは、真っ青の空をバックに太陽の光が反射しその美しさに目も心も奪われてしまいます。このドゥオーモはその美しさから、イタリア 1美しい、と言われるほどなんです。
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外観の美しさももちろんのこと、中のフレスコ画も必見です。
ルネサンス期のルカ・シニョレッリのフレスコ画『黙示録』からテーマをとって描かれた『善人と悪人の選別』があります。
サン・パトリッツォの井戸
16世期に教皇クレメンス7世によって、水源確保のため、建築家アントニオ・ダ・サンガッロが作りました。
直径約 13メートル、深さ約 63メートルという巨大な井戸。中には、上りと下りの螺旋階段が二重に建てられているんです。この二重の螺旋階段を作る技術は高度で貴重なため、現在も観光地として保存されています。
実際に降りて見ることができるので、体力に自信がある方は是非!歩きやすい靴でどうぞ。
地底都市
Instagram @orvietounderground_official
かつてオルヴィエートは、水源や食料がありませんでした。
それを克服するために住人はなんと2500年もの歳月をかけて、地下を堀り、地底都市を作り上げました。
迷路のように入り組んだ地底都市には、水を汲み上げる井戸や古代の古墳、オリーブ製造所、ハトの飼育小屋などがあります。
特に見どころは、ハトの飼育小屋。ハトの帰巣本能に着目した住人がハト小屋を作りました。朝目を覚ましたハトたちは、餌を取りに洞窟を出ます。しかし、帰巣本能があるため夕方にはちゃんと帰宅!
崖の上にあるオルヴィエートでは、ハト肉は当時の貴重なタンパク源でした。今でも、ハト肉はオルヴィエートの名物料理にもなっているそうです。
このように地下洞窟には、昔の人々の知恵や工夫がたくさん。
ぜひ訪れてみてくださいね!
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景色
Photo by valtercirillo on pixabay
オルヴィエートは丘上都市のため、丘の上から眺める景色が息を呑むほど美しいです。
特に天気の良い日は、最高!
真っ青な空に、ウンブリアの緑が広がり、空気が美味しく感じます。
オルヴィエートのこの景色は、何物にも変えがたい財産だな、と感じました。
この美しい緑がいつまでも続きますように。
オルヴィエートの特産品
空気が美味しいところは、ご飯も美味しい。
オルヴィエートは、内陸地ということで山の幸がとても絶品です。
トリュフ
Photo by YUKAKO
オルヴィエートはトリュフの名産地でもあり、地元のリストランテには、ほとんどの店にトリュフのパスタがメニューにあります。
パスタを注文したら、惜しみなくトリュフをどっさり盛られました。
この香り、たまりません!
ウンブリケッリ
Photo by YUKAKO
イタリアは郷土料理がとても美味しいので、ぜひ地元のパスタを味わってください。
こちらのパスタは、ウンブリケッリ umbriccheli と言います。ウンブリアのパスタだから、ウンブリケッリ。覚えやすいですね。
卵を使わず、太さはうどんくらい。もちもちとした食感がしました。他の街ではなかなかお目にかかれないパスタなので、オルヴィエートに来たらぜひお試しください。
ウサギのお肉
Photo by YUKAKO
イタリアはウサギも食用としてよく食べます。
日本ではなかなか口にすることのないウサギのお肉ですが、鶏肉のようにあっさりとして食べやすかったですよ。
ワインが進みます。
イノシシのお肉
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山の幸、ということで、イノシシも非常に有名です。イノシシのサラミなど豚肉よりも濃い味がしました。
お土産用に、ペーストになった瓶詰めもあります。こちらはパスタと合わせるととても美味しいソースになりましたよ。
※2021年現在、ヨーロッパから瓶詰めも含め肉類の持ち出しはNGなので、購入したらイタリアにいる間にお楽しみください。最新情報は、農林水産省のHPなどでご確認を。
オルヴィエートワイン
オルヴィエートは内陸地で、冬の寒さも厳しくないことから、ワインのぶどうを育てるのに適した気候のため、ワインの産地としても有名です。
オルヴィエートは白ワインが有名で、辛口、薄甘口、中甘口、甘口の4種あります。
紀元前7世紀頃から、エトルリア人によってワインが作られていました。ウンブリア地方の最古のワインとされています。
中世、ルネッサンスの時代にも貴族や法王の食卓にもオルヴィエートの白ワインが提供されたほど。上品な口当たりの白ワインに多くの人が、魅了され続けてきたのですね。
オルヴィエートの代表的なワインはこちら。
・ロッソ・オリヴィエターノ Rosso Orvietano
・オルヴィエート・クラッシコ Orvieto Classico
地元のレストランでその土地の郷土料理とあわせたり、お土産に買っていくのもいいですね!
最後に
Photo by YUKAKO
ローマから車で1時間半ほどで行ける距離でありながら、まるで中世にタイムスリップしたかのような穏やかで美しい街並みは、きっと誰もが心を奪われてしまうはず。
観光するには1日で十分ですが、あくせく観光名所を巡るのではなく、ぜひのんびりと街歩きを楽しんでみてください。
スロウシティのシンボル、カタツムリのマークを見つけながら、街の人々の往来を見つめるだけでも楽しめる街だと思います。ガイドブックにはない“イタリア“を感じることができるでしょう。
そして、ご紹介した通り、美食の街でもありますので、地元料理に舌鼓を打つのも良いですね。
緑のハート、ウンブリアのオルヴィエートに、心もお腹も満たされます。
アクセス方法
鉄道
ローマから fs線で約1時間~1時間半
フィレンツェから fs線で約2時間~2時間20分
バス
ペルージャから fsbusitalia (E645番)で2時間
トーディから fsbusitalia (E644番)で1時間
車
ローマから幹線道路(A1)を経由し約1時間
フィレンツェから幹線道路を経由し(A1)約2時間~2時間半
この記事を書いた人
YUKAKO
夫の転勤に伴い、ローマに1歳の娘を連れて渡伊。イタリア人の子ども好きで面倒見の良さに感激する。また、現地のイタリア料理教室にも通い、イタリア料理の奥深さに触れる。子育て中の母親の視点、また料理好きの視点で、イタリアの魅力をお届けできればと思います。
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