世界自転車三大レースの一つ ジロ・ディ・イタリアとは?

ツール・ド・フランス(フランス)、ブエルタ・ア・エスパーニャ(スペイン)と並び、世界自転車三大レースとされているのが、ジロ・ディ・イタリア Giro d’Italia。毎年5月に、イタリア全土を舞台に行われる自転車のプロロードレースです。

ジロ・ディ・イタリアとは?

Photo by YUKAKO

イタリアをはじめヨーロッパの人気スポーツといえば、日本人にとって馴染みがあるのは、サッカーですよね。イタリア人が地元のクラブを熱烈に応援している姿をテレビやネットなどでご覧になった方もいるのではないでしょうか?

そのサッカーに勝るとも劣らない人気を誇るのが、この自転車競技です。
ヨーロッパでは自転車レースが本当に人気で、今回ご紹介するジロ・ディ・イタリア以外にも様々なレースが繰り広げられます。




ジロ・ディ・イタリアは、1909年、北イタリアの都市ミラノで始まりました。
毎年5月に開催されるステージレース(※)で、イタリア全土を舞台に、選手たちが走り抜けます。全部で21ステージあり、平坦ステージ、山岳ステージ、タイムトライアルステージなど、多種多様なステージが用意されています。
※ステージレースとは、長距離を数日に分け、一日ごとのゴールを定め、毎日の成績を集計していくレースのことです。

giroditalia @Instagram

そして、このジロ・ディ・イタリアで1位になった選手には、マリア・ローザ(maglia rosa)といってピンクのジャージと特徴的ならせん型をしたトロフィーが与えられます。その他、スプリント賞、山岳賞、新人賞など各カテゴリに合わせて賞もあり、賞ごとにジャージも用意されています。

104回目となる今年、コース会場になる予定の街では、開催の1ヶ月前である4月8日に、ランドマーク的な建物などをジロ・ディ・イタリアのシンボルカラー、ピンク色のイルミネーションで包む、といったイベントも行われました。

gazzettadelsud @Instagram

ちなみに、ツールドフランスはマイヨ・ジョーヌ(黄色のジャージ)、ブエルタエスパーニャはマイヨ・ロホ(赤のジャージ)が、1位の選手に贈られます。

最近の傾向

スイスの景色も楽しめます    Photo by Tran MauTri Ttam on Unsplash

コースはイタリア全土、と書きましたが、最近の傾向としては、国際化が進みイタリア以外の国もコースに組み込まれることが増えました。

近年ではスイスやハンガリーなどのヨーロッパ諸国や、2018年には、ヨーロッパ以外で初めて中東のイスラエルがスタート地点になりました。




今年のコース

美しい街並み、古都トリノ     Photo by ChiemSeherin on pixabay

今年は5月8日から、イタリア統一160年を記念してピエモンテ州の古都トリノからスタートします。
ピエモンテ州で3ステージ行った後、アドリア海側を南下し、プーリア州から北上。ミラノでゴールし、30日に閉幕します。

2019年のスタート地、ボローニャにて    Photo by YUKAKO

今年も第15ステージはスロヴェニア、第20ステージはスイスと国境を超えて、レースが行われます。
イタリアとはまた違う景色が楽しめますね。

ジロの見どころ

Photo by YUKAKO

ジロ・ディ・イタリアの見どころは、大きく2つあると筆者は思います。

なんと言っても、3週間にも渡って繰り広げられる過酷なレースの中で生まれる選手たちのドラマ。
選手は平坦な道だけではなく、アップダウンの厳しい道も自転車1台で走り抜けます。
その険しい、最たるステージが山道、北イタリアのドロミテ山塊です。傾斜の激しい山道は、選手の能力が如実に現れる場所。この傾斜を制するものが、ジロを制すると言っても過言ではありません。

このステージはジロ・ディ・イタリアの後半に展開され、様々なドラマが生まれます。
それまで1位を走っていた選手が後退したり、かなりの急斜面にも関わらず、ものすごい脚力でペダルを踏み、ぐんぐん前の選手を追い抜いていく選手が現れるなど、息をもつかせぬ展開が繰り広げられるのです!
まるで人間業とは思えないようなレース展開は、たとえテレビやパソコンのスクリーン越しであったとしても、手に汗握り、画面から目を外すことができません。

レースの山場になるドロミテの山々   Photo by YUKAKO




そしてもう一つの見どころは、景色です。
イタリア全土がコース会場のジロ・ディ・イタリア。北から南までイタリアの雄大な自然を楽しむことができます。

イタリアならではの景色、オリーブ畑   Photo by stux on pixabay

一面に広がるオリーブ畑、真っ青な濃いブルーの海、そしてドロミテ山塊の険しい山々。普通の旅行ではなかなか行けないイタリアの自然を俯瞰して眺められるのも、このジロの楽しみの一つだと思います。

有名なイタリア人選手

それではここで、知っているとイタリア人との会話が盛り上がるであろう、イタリア人選手を二人ご紹介ます。

マルコ・パンターニ Marco Pantani

giroditalia @Instagram

1970年生まれのパンターニは、プロ36勝、ツールドフランス、ジロ・ディ・イタリアの2大ステージで個人総合優勝をした選手で、イタリアのヒーローとされている人物です。
愛称は、海賊(il pirata イル・ピラータ)。スキンヘッドにバンダナを巻き、顎髭を蓄えた風貌からこのあだ名がつきました(現在は安全面からヘルメット着用が義務化されています)。

見た目だけではなく、険しい山道を颯爽と大胆かつ破天荒に走り抜けるスタイルで、誰をも魅了するカリスマ性を備えた人物でした。
しかしパンターニは、残念ながら2004年ドラッグ中毒を克服する事が出来ず、自ら命を絶ってしまいます。この事件は当時イタリア中だけではなく、世界中の自転車ファンを悲しみに包みました。
現在は、没後10年以上が経過していますが、以前としてパンターニは、イタリア国民の誇りであり、『自転車界のヒーロー』として、愛され続けています。
パンターニの生涯に迫ったドキュメンタリー映画「パンターニ 海賊と呼ばれた男」という映画もあるので、ご興味のある方はぜひご覧ください。




ヴィンチェンツォ・ニバリ Vinccenzo Nibali

vincenzonibali @Instagram

ニバリは1984年生まれの現在もイタリアを代表するロードレーサーの1人。
史上6人目の全グランツール(ツールドブランス、ブエルタ・ア・エスパーニャ、ジロ・ディ・イタリア)総合優勝記録達成者。
出身地がシチリアのメッシーナであることから、愛称はメッシーナ海峡の名前をとって『海峡のサメ(lo squalo dello Stretto ロ・スクアーロ・デッロ・ストレット)』と言われています。

最後に

Photo by YUKAKO

イタリアが誇るスポーツ競技、自転車ロードレースのジロ・ディ・イタリア。
イタリアでは人気の自転車競技ですが、残念ながら日本人にとっては、まだあまり馴染みがないかもしれません。

イタリアは美食や芸術だけではなく、スポーツの面においても世界に誇る国でもあります。
バールでイタリア人たちが熱く会話してるな~なんて見かけたら、その話題はスポーツの勝敗について、なんてこともザラ。

まずは景色を楽しむことからだけでも良いので、今年はジロ・ディ・イタリアの世界を覗いてみませんか?
イタリアの豊かな景色と選手たちの力強い走りを、ぜひご自身の目で見て、そして、感じてください!

#季節行事

 

この記事を書いた人
YUKAKO
夫の転勤に伴い、ローマに1歳の娘を連れて渡伊。イタリア人の子ども好きで面倒見の良さに感激する。また、現地のイタリア料理教室にも通い、イタリア料理の奥深さに触れる。子育て中の母親の視点、また料理好きの視点で、イタリアの魅力をお届けできればと思います。
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