首都ローマから車で約2時間、ラツィオ州とウンブリア州の狭間にある街、チヴィタ・ディ・バーニョレージョ(Civita di Bagnoregio)。まるで、天空に浮かんでいるような姿から『イタリアのラピュタ』とも呼ばれています。
チヴィタ・ディ・バニョレージョはどんな街?
Photo by YUKAKO
日本のガイドブックにはほとんど載っていない、知る人ぞ知る街、チヴィタ・ディ・バニョレッジョ。
ジブリアニメ「天空の城ラピュタ」のモデルになったとも言われ、まさに、天空に浮かぶ街のような風貌です。一度見たら忘れられないですよね。
ちなみに近年では、綾瀬はるかさん主演の「ホタルノヒカリ」の舞台にもなり、注目されました。
チヴィタ・ディ・バニョレージョは、通称『死にゆく街』と言われています。なぜそのような名前がついているかというと、住民の数が年々減っているから。近年では、村人の数は20名に届くかどうかという数なのです。
チヴィタは1本の長い橋でしかつながっておらず、他には交通手段はありません。凝灰岩の丘の上に立っているため、風化が激しく、少しずつ崩れているそうなのです。
歴史
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チヴィタの歴史は、今から2500年、3000年も前にさかのぼり、なんと古代ローマ帝国よりも古く、エトルリア人が作った村と言われています。
長い歴史の中で何度となく地震や嵐などで、唯一の交通手段である橋も寸断されてしまうなど、何度も村存続の危機に瀕してきました。
また、雨風の侵食が激しく、風化が進んでいるため、近い将来、消滅してしまうのではないかといわれています。
街の中
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チヴィタを繋ぐ一本橋を渡ると、入り口のサンタマリア門が迎えてくれます。さらに門をくぐると、そこは中世のまま時が止まったかのような、可愛らしい街が広がっています。
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石畳が敷かれ、煉瓦造りの建物が連なり、軒先には目に緑やかわいらしい花々が飾られ、長閑な時間が流れています。
さんさんと太陽の光が小さなお庭にふりそそぎ、初めて訪れた時、ここは桃源郷?!と錯覚してしまうほど、穏やかで優しい時間が流れていました。
街は、1時間もかからず回れてしまうほどのコンパクトさ。レストラン、宿泊施設、お土産屋さんが立ち並びます。
この日は映画の屋外上映があるそうで、教会の前には椅子が並べられていました Photo by YUKAKO
そして、やはりイタリアだなぁ、と思うのは、こんな小さな街であってもしっかり教会があること。
街の中心地に建てられたこちらの教会は、聖ドナート教会。5世紀にまで遡るほど、歴史がある教会なのです。
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教会の中は、無駄なものは何もないシンプルな作り。マリア様と幼子イエスの像が、こちらを優しく見つめています。
ヨーロッパには豪華絢爛な教会が、たくさんありますが、こうした小さな街の小さな教会の、しん、と静まり返った空間はなんとも言えず落ち着きます。
素朴な郷土料理に舌鼓
チヴィタは小さな街ながら、レストランも数軒あります。
訪れた当時は、初夏で夏の料理が供されました。
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こちらは花ズッキーニのフリット。イタリアでは、ズッキーニの花も、このように美味しく調理します。
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こちらは、パンチェッタとズッキーニの手打ちパスタ。
初夏に訪れたので、ズッキーニが旬でよく使われていました。
アクセス方法
チヴィタに電車は通っておらず、バスでアクセスするしか方法がありません。
以前ご紹介した街、オルヴィエートからが、時間も割と短時間で行けて、乗り換えも少なくアクセスが良いでしょう。
合わせて読みたい 世界でも有数の美しい丘上都市オルヴィエート
オルヴィエートからバニョレージョへ
チヴィタは、正式名称をチヴィタ・ディ・バニョレージョと言い、印象的な街であるチヴィタは、チヴィタ・ディ・バニョレージョの一部ということになります。
チヴィタに行くには、まず手前の街のバニョレージョに行かなくてはなりません。バニョレージョまでの直通バスが出ているのは、オルヴィエートとヴィテルボ。
オルヴィエートの方がチヴィタに近いため、ほとんどの観光客はオルヴィエートからやって来るようです。
オルヴィエートとバニョレージョを結ぶのは、Cotralというバス会社です。
バニョレージョへ行くバスの本数はそんなに多くないので、よく時刻表を確認してからにしましょう。
Cotralの公式サイト https://www.cotralspa.it/
バニョレージョからチヴィタへ
バニョレージョに着いたら、今度は白色のバスに乗り換えてチヴィタまで行きます。
バスの切符は、近くのタバッキ(たばこ屋さん)などで購入しましょう。
さいごに
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摩訶不思議ないでたちで訪れる人すべてを魅了する街、チヴィタ・ディ・バニョレージョ。アクセスは決して良いとは言えない場所にありながら、それでもやはり、一目観たいと訪れる人が後を絶ちません。
イタリアにはガイドブックに載っていない素晴らしい街や村が多数存在します。
当たり前ですが、小さな街や村にも、大きな街と同じようにその土地の文化や歴史があります。そして、街の人々の生活を垣間見ることで、そこに息づくイタリアの人々の素顔を覗けるかもしれません。
『死にゆく街』と言われるチヴィタ・ディ・バニョレージョ。実際、街は雨風の浸食による風化に伴い、街の土台となる丘は確実に侵食が進んでいるそうです。
美しいこの村が、姿を変えてしまう前に一度訪れてみませんか?
この記事を書いた人
YUKAKO
夫の転勤に伴い、ローマに1歳の娘を連れて渡伊。イタリア人の子ども好きで面倒見の良さに感激する。また、現地のイタリア料理教室にも通い、イタリア料理の奥深さに触れる。子育て中の母親の視点、また料理好きの視点で、イタリアの魅力をお届けできればと思います。
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