イタリア国歌にみるひとつのイタリア 歌詞つき

イタリア人はとても地元愛が強く、イタリア人としてより例えばベネチア人とかローマ人であるといった意識が強いお国柄。でも国歌を歌う時にはひとつのイタリアになります。

イタリア国歌ってどんな歌?

まずは聞いてみましょう!2006年ドイツで開催されたFIFAワールドカップで、宿敵フランスを破り優勝した決勝戦で歌われた国歌です。

歌詞が作詞されたのは、1847年。当時はイタリアはまだ統一されておらず、フランスやオーストリアなど諸外国との争いに巻き込まれる中、イタリア統一運動の機運が高まっていた頃。そのため、大変愛国色の強い内容となっています。

歌詞はこちら。

オリジナル 日本語訳(by ITALIAMO)
Fratelli d’Italia,

l’Italia s’è desta,

dell’elmo di Scipios’è cinta la testa.

Dov’è la Vittoria?

Le porga la chioma,

ché schiava di Roma

Iddio la creò.

イタリアの兄弟よ

イタリアは目覚めた

スキピオの兜をその頭上に被りて

勝利の女神ヴィクトリアは何処に?

その御髪をささげよ

ローマの奴隷として

神が創造したのだ

(コーラス)

Stringiamci a coorte,

siam pronti alla morte.

Siam pronti alla morte,

l’Italia chiamò.

Stringiamci a coorte,

siam pronti alla morte.

Siam pronti alla morte,

l’Italia chiamò! Si!

(コーラス)

集結せよ

死の覚悟はできている

死の覚悟はできている

イタリアが呼んでいる

集結せよ

死の覚悟はできている

死の覚悟はできている

イタリアが呼んでいる!そうだ!

Noi fummo da secoli

calpesti, derisi, perché non siam popolo,

perché siam divisi.

Raccolgaci un’unica bandiera, una speme:

di fonderci insieme già l’ora suonò.

我ら、何世紀もの間

虐げられ、嘲られた、一つの民族でないゆえに

分裂していたゆえに

一つの旗、一つの希望、我らを統一せよ

ときは告げられた、我らがひとつになるときが

Uniamoci, amiamoci,

l’unione e l’amorerivelano ai popolile vie del Signore.

Giuriamo far liberoil suolo natio:

uniti, per Dio,

chi vincer ci può?

連帯せよ、愛せよ

連帯と愛が神の道を明らかにする

我らの土地を開放することを誓う

神のために連帯せよ

我らを誰が打ち破らん?

Dall’Alpi a Sicilia

dovunque è Legnano,

ogn’uom di Ferruccioha il core, ha la mano,

i bimbi d’Italiasi chiaman Balilla,

il suon d’ogni squillai Vespri suonò.

アルプスからシチリアまで

レニャーノ(1)の戦場はいずこにもあり

フェルッチオ(2)の心と手を誰もが持ち

イタリアの子どもはみなバリッラ(3)と呼ばれ

すべてのベルが鳴りシチリアの晩祷(4)が響く

Son giunchi che pieganole spade vendute:

già l’Aquila d’Austriale penne ha perdute.

Il sangue d’Italia, il sangue Polacco,

bevé, col cosacco, ma il cor le bruciò.

兵の剣はか弱き葦である

オーストリアの鷲はすでに羽を失った

イタリアの血潮とポーランドの血潮は

コサックへと飲み込まれん、されどもその心に燃え上がる

(1) レニャーノ ミラノ近郊の街で、ロンバルディア同盟軍が神聖ローマ帝国軍を打ち破った街
(2) イタリアを巡るコニャック同盟戦争でフィレンツェ共和国を率いた傭兵隊長の名前
(3) オーストリア占領下のジェノヴァで反オーストリア蜂起を起こした少年のあだ名
(4) フランス人支配下のシチリアで起こった住民の反乱

 




現在のイタリア国歌ができるまで

1861年のサルディーニャ王国によるイタリアの統一から1946年の共和制への移行までは、元々サルディーニャ王国国歌であったジュゼッペ・ガベッティ (Giuseppe Gabetti) 作曲の「国王行進曲(Marcia Reale)」が初めてのイタリア国歌でした。

別の名を「マメーリの賛歌(Inno di Mameli)」「イタリア人達の唱歌(Il Canto degli Italiani)」または「イタリアの兄弟(Fratelli d’Italia)」 とも呼ばれる現イタリア国歌は、ゴッフレディ・マメーリ(Goffredo Mameli)によって作詞されます。1847年、彼が20 歳の時、イタリア統一に貢献したジュゼッペ・マッツィーニの思想に傾倒するマッツィーニ主義者であったマメーリが歌詞を書き、当時25 歳の音楽隊長ミケーレ・ノヴァ―ロ(Michele Novaro)が曲を書きました。また、ジュゼッペ・ヴェルディ(Giuseppe Verdi)が編曲を行いました。

第二次世界大戦の混乱を経て、これまでの君主制がファシストを生んだという思いから採択されなかった「国王行進曲」に変わり、「イタリアの兄弟」が共和制移行の1946年に暫定的に国歌と定められ、2017年に正式に国歌として制定されました。

「国王行進曲」はこちら。

オリジナル 日本語訳(by ITALIAMO)
Evviva il Re! Evviva il Re! Evviva il Re!

Chinate o Reggimenti le Bandiere al nostro Re

La gloria e la fortuna dell’Italia con Lui è

Bei Fanti di Savoia gridate evviva il Re!

Chinate o Reggimenti le Bandiere al nostro Re!

王様万歳!王様万歳!王様万歳!

弓を連隊旗を、我々の王に

イタリアの栄光と富は王と共に

サヴォイ家兵の子孫がエールを送る 王様万歳!

弓を連隊旗を、我々の王に

 




元気の出るイタリア国歌を覚えよう!

歌ってみましょう。歌詞付きです。オリンピック、ワールドカップ、F1など、もしイタリアを応援する機会があったら、観戦が楽しくなること間違いなし!

 

合わせて読みたい イタリア南北問題のナニとナゼ

 

ITALIAMO編集部

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