イタリアにあるドイツ語圏、南チロルの中心都市 ボルツァーノ

イタリアだけどイタリアじゃないみたい!!ドイツ語が飛び交う、オーストリアとの国境近くにある町 ボルツァーノ。

アルト・アディジェ県の県都 ボルツァーノ

トレンティーノ・アルト・アディジェ州にある町ボルツァーノ。トレンティーノ・アルト・アディジェ州はひとつの州ではありますが、州南部のトレンティーノ県と、州北部のアルト・アディジェ県とに分かれています。ボルツァーノは、“南チロル”とも呼ばれるアルト・アディジェ県の県都。イタリアと北ヨーロッパを結ぶ交易路として発展してきました。アルプスの山々に囲まれた盆地にあるため、夏はとても暑く、冬は厳しい寒さで雪も降ります。世界自然遺産に登録されているドロミテの玄関口であり、ドロミテ観光を目的にボルツァーノに訪れるという人も多いよう。自然に囲まれており、空気が澄んでいて、現代的でありながら洗練された印象を受ける町です。町の中心にあるヴァルター広場。中央にある中世ドイツの詩人ヴァルターの像と、像を囲む花々が印象的。

広場のまわりには、ロマネスク・ゴシック様式の建物とドゥオーモが立ち並びます。

ボルツァーノの象徴的存在であるドゥオーモ。14〜15世紀のゴシック様式の教会です。南チロル独特の多色で勾配のある屋根と、尖塔状の飾りがついた62mの鐘楼が特徴的。

日曜日を除いて毎日市場が広がるエルベ広場。色鮮やかで活気に満ちた広場です。


カラフルで可愛らしい建物が多い街並み。


ぶどう畑の中にあるマレッチョ城。

ルンゴ・タヴェルナ遊歩道。木が茂る長い遊歩道で、心身ともにリラックスできる空間です。

公用語はイタリア語とドイツ語の2カ国語

イタリアの公用語といえば、皆さんご存知のとおりイタリア語。ですが、ここボルツァーノでは以前オーストリア領だったこともあり、イタリア語よりドイツ語のほうが話されています。住民の約70%はドイツ語、約25%はイタリア語、約5%はラディーノ語(ドロミテ地域やフリウリ地方などで使われるロマンス語のひとつ)を話すと言われています。小さい頃からイタリア語もドイツ語も両方話せるようにと教育されて育つ人が多いので、ボルツァーノではどちらの言語でも通じます。ただ、中にはイタリア人でもイタリア語が話せないという人もいるそう。イタリア語よりドイツ語の方が得意という人もたくさんいるみたいです。

ボルツァーノ(Bolzano)はドイツ語でボーツェン(Bozen)。ボルツァーノにある標識はイタリア語とドイツ語両方で表記されています。

ボルツァーノにあるパン屋さん。こちらもイタリア語でPanificio、ドイツ語でBäckereiと2ヶ国語での表記。どちらもパン屋という意味です。

ボルツァーノから足を延ばして レノン鉄道とピラミデ

ボルツァーノだけでも十分魅力的なのですが、時間があれば足を延ばしたいのがレノンという町。レノンはボルツァーノの上に広っていて、ソプラボルツァーノやコッラルボなど、いくつかの集落が集まって形成されている町です。ボルツァーノからはロープウェイで行くことができます。ロープウェイを降りるとソプラボルツァーノという場所にたどり着き、そこからレノン鉄道にのると、高原を移動しながらコッラルボに到着します。ソプラボルツァーノからコッラルボまでの所用時間は16分。車窓からは、広大な草原や牧草地、美しいドロミテの山々などを眺めることができます。コッラルボ駅で下車すると、レノン最大の見所「ピラミデ・ディ・テッラ」を見に行くことができます。ピラミデ・ディ・テッラとは、三角錐の上に石を帽子のように乗せた細長いピラミッド型の土柱のこと。コッラルボ駅からは徒歩20〜30分程度かかりますが、軽いハイキング気分でドロミテの景色を楽しみながら歩くことができます。

ロープウェイでレノンの町へ。ロープウェイからも絶景を楽しめます。


レノン鉄道の列車

遠くには雄大なドロミテの山々が広がります。

 自然がたくさん広がるレノン

レノン最大の見所、ピラミデ・ディ・テッラ。ピラミデ、緑の木々や牧草地、遠くに見えるドロミテの山々。不思議なコントラストが美しい景色を楽しめます。

アルト・アディジェのビール FORST

イタリアといえばビールよりワインが有名ですが、トレンティーノ・アルト・アディジェ州に訪れたら、ぜひビールも試していただきたいところ。特にアルト・アディジェ県のFORST社は州内でメジャーなビールメーカー。州内のスーパーやレストランでは、よくFORST社のビールを目にします。他の州ではなかなかお目にかかれないので、トレンティーノ・アルト・アディジェ州に訪れたらぜひ、お試しください。

トレンティーノ・アルト・アディジェ州のスーパーで購入したFORST社のビール。他の州のスーパーではなかなか出会えず、見かけても1種類ほどしか置いてないということも。


ドロミテの山々がデザインされたパッケージのビールもありました。

 

この記事を書いた人
MAYUKO
初めての海外旅行で訪れたのはイタリア。そこからどんどんイタリアにのめり込み、大学院在学中にイタリア留学を決意。大学院での研究テーマはジュゼッペ・ヴェルディ。一度は日本へ帰国・就職するも、イタリアへの想いが忘れられず、2019年に再びイタリアへ戻ることを決意。現在ミラノ郊外在住。
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