イタリアでも流行り出した!?黒ニンニク!

イタリア料理に欠かせない食材の一つ、白いのが当たり前!なニンニクですが、見慣れた外観を完全に裏切った黒ニンニクも、日本のみなさんはもうご存知ですね。見た目に少し抵抗のあるイタリア人も多いはずですが、イタリアでも、味に関しては受け入れられつつあるようです。そんな黒ニンニクについて探ってみましょう。

Photo by delfanti.com

日本では、健康食品としてスーパーにも出回るほど大人気の黒ニンニクですが、イタリアでも徐々に注目され初めました。気持ちいいくらい真っ黒に生まれ変わった黒ニンニクとは!?

まずは黒ニンニクの母体、通常のニンニクの歴史から

とにかく古くから存在していた古代食材ニンニク。起源は、現在のカザフスタン北部、ロシア南西部なのですが、記録として残っているのは、世界最古の文明発祥地メソポタミア(現在のイラク周辺)で栽培されていた、という楔形文字のデータです。

その後、紀元前140年頃までに、ヨーロッパ、インドや中国などに伝わるのですが、日本には、だいぶ時間を置いて、奈良時代(710-784年)にようやく、といった具合です。ヨーロッパの料理に根付くのも納得ですね。

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すでにスーパーフードと位置づけられていたニンニク

大昔から世界的に愛されて続けてきたニンニクですが、すでにスーパーフードとして重宝していたようで、
古代エジプト時代(紀元前3000年~紀元前30年頃)では、ピラミッドを築いたたくさんの労働者たちも、ニンニクを与えられ精を出していた、と古文書に記述されています。逆に日本の仏教僧侶たちは、その強壮作用が煩悩をより刺激するとし、ニンニクは食べてはならない食材の一つとされていました。

合わせて読みたい スーパーフード黒ニンニクを使ったシンプルイタリアンレシピ♪

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そして薬効成分もお墨付きのニンニク

古代ギリシャの医師ヒポクラテスがニンニクを勧め、同じく古代ギリシャの医師ガレノスも「すべてを治す」食材だと太鼓判を押すほど、その薬効成分について、早くから着目していたようです。抗菌性から、ヨーロッパでは、中世の医師が、ニンニクエキスを浸したものをマスクにつけ、感染予防に活用したり、14世紀には、吸血鬼が寄生虫と見なされ「吸血鬼除け」として、ニンニクを首の周りに身に着ける風習があったり、と利用法は多様です。

14世紀ペスト感染者を治す医師の服装と、くちばしのような部分にニンニクなどを入れていたマスク Photo by Jeera

では黒ニンニクはいつどこで作られたの?

大人気のニンニクが、黒ニンニクとして生まれ変わるのはいつなのか、気になるところですが、最初に作られた国は明確ではありません。韓国やタイでも生産されているようです。日本では、1999年に三重県で開発され全国に普及され、イタリアでは、アジアからの食材として伝わり、2000年にニンニクの生産で有名な、エミリアロマーニャ州フェッラーラにて生まれたようです。黒ニンニクは、世界的に歴史の浅い現代フードですね。

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パワーアップした黒ニンニク

通常の白いニンニクは、スタミナ源の食べ物であり、いくつかの抗癌作用、抗菌作用もあるとして有名ですが、黒ニンニクは、より有効成分が高く、癌やウィルスに感染した細胞と闘う役割をする、NK細胞を増やす作用、抗酸化作用、抗アレルギー作用など、その将来性が注目されています。また甘味のある独特な風味は、通常のニンニクとは異なるデザート料理にも活躍しています。

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さいごに

既存の食材が、発酵することで新たな食材として生まれ変わる、なんとも興味深い発酵食品は、世界的に研究されています。その有効作用がどんどん確証され、新しい食材として、私たちの食卓に登場し続けることでしょう。イタリアで常食される発酵食品、ワイン、ビール、パン酵母、チーズ各種、ヨーグルト、ピクルスやクラウティ、バルサミコ酢などのように、おいしく、健康に特化した食材であれば、もう言うことなしですね!

和食ブームのイタリアですが、日本でお馴染みの発酵食品、味噌や醤油、納豆は、和食店の食材であり、まだまだイタリア料理店の一般食材ではありません。日本人シェフやミシュランレストランでもない限り、イタリア家庭はもちろんのこと、イタリアのイタリア料理店で見かけることはごく稀です。そんな中、黒ニンニクが、どこまでイタリア料理に参入できるのか、今後も注目したいところです。

手始めにイタリアンシェフが考案する、黒ニンニクを使ったレシピ、試してみませんか?レシピはこちらです。

#イタリア野菜

 

この記事を書いた人
Jeera
2008年よりイタリア在住。ミラノ、サンタマルゲリータリグレ(リグーリア州)、カナゼイ=カナツェーイ(ドロミテ山脈、南チロル)の3都市より、イタリアの気になる楽しいおいしい情報をお伝えします♪
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