いくつ知ってる?イタリアのチーズ13選

イタリアグルメの代表格チーズ。どの街に行っても個性豊かな地域のものが楽しめますが、イタリアならではの定番チーズを見てみましょう、これであなたもチーズ通です!

チーズと共に

イタリアのサルーミについて「毎日食べたいイタリアの生ハム その種類とは」でご紹介しましたが、今回はチーズについての話です。

チーズの歴史は古くその正確な起源は不明ですが、紀元前4000年頃と思われる古代エジプトの壁画には、既にチーズなどの製造法が描かれています。西ヨーロッパに伝わったのは紀元前1000年頃、イタリアが最初の国と言われています。

現在のヨーロッパ連合(EU)では年間およそ1千万トンのチーズを生産していますが、イタリアは、ドイツ、フランスに続く第3位の生産国。毎年約1.3百万トンのチーズの生産地です。

EUで生産されるチーズは、9割以上が自国またはEU域内で消費されますが、1割弱がEU域外に輸出され、そのうち日本はアメリカ合衆国に次ぐ第2位の輸出先なんですよ。

出所 eurostat Where does our cheese come from? 




イタリアチーズの種類は約600種類!

イタリア語でチーズはフォルマッジョ(Formaggio)と言い、現存するイタリアチーズは約500〜600種類あると推定されます。その中でも著名な13種類がこちらです。日本のイタリア料理屋さんで、イタリア旅行に行った先で、ぜひ味わってくださいね!

※固さ(ハードからソフト)および地域(北から南)の順に ‘おおよそ’ 並んでいます。

パルミジャーノ・レッジャーノ(Parmigiano Reggiano D.O.P.)

エミリア・ロマーニャ州とロンバルディア州の特定地域で作られる、イタリアのフォルマッジョのなかでも最も有名なもの。生産地のパルマとレッジョ・エミリアの名をとってこう呼ばれます。熟成期間は最低12ヵ月、その段階で品質検査でふるいにかけられ、合格しなかったものはパルミジャーノ・レッジャーノ・メッザーノとされ、合格したExtraと呼ばれるものが18ヶ月以上の熟成期間を経てパルミジャーノ・レッジャーノとなります。長期熟成期間の間にたんぱく質がアミノ酸に分解され、しっかりとした旨味と豊かな香りを作ります。すり卸してパスタにかけても、そのまま食べてもとてもおいしいですね!

グラナ・パダーノ(Grana Padano D.O.P)

パルミジャーノ・レッジャーノの弟分のような存在がグラナ・パダーノですが、れっきとした D.O.P(※)です。その名の由来となるパダノ平野がある北イタリアのロンバルディア州、トレンティーノ=アルト・アディジェ州、ヴェネト州、エミリア・ロマーニャ州で生産されます。パルミジャーノ・レッジャーノとは原料や製法がとてもよく似ており、大きな違いは作られる地域および熟成期間(こちらは最低9ヵ月間)からくる旨味の度合いでしょうか。パルミジャーノ・レッジャーノと比べ熟成期間が短いため、味わいが優しくなり、様々な料理との相性が良くなります。

※ D.O.P とは、Denominazione di Origine Protetta(保護指定原産地表示あるいは原産地名称保護)の略語のことで、ある特定の地域で作られた原産品を表す。




ペコリーノ・ロマーノ(Pecorino Romano D.O.P)

羊の乳からつくるチーズで、2000年の歴史を持ち、古くはローマ皇帝、そしてローマ軍隊に食されました。3つの産地があり、サルディーニャ州のものはペコリーノ・サルド(またはペコリーノ・ロマーノ)、ラッツィオ州のものはペコリーノ・ロマーノ、トスカーナ州(グロッセート県のみ)のものはペコリーノ・トスカーノと呼ばれます。最低5ヶ月熟成され、塩味が強いのが特徴。というのも、ローマ軍隊を元気づける保存食だったから。ローマを代表するパスタ、カルボナーラ、アマトリチャーナ、カチョエペペには、その塩みと粘り気からこちらが断然オススメです。

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フォンティーナ(Fontina D.O.P.)

フォンティーナは、フランス側アルプスの麓、ヴァッレ・ダオスタ州の牧草地の草、乾し草を食べたアオスタ種の牛の乳から造られるチーズです。Fontin一家にその名の由来をもち、代々受け継がれてきました。熟成期間は最低3ヶ月で、ここで取れる牧草だけを飼料として与えることで独特のナッツの風味が生まれ、はちみつのような甘みを持つようになります。そのままワインのお供でも良いですが、地元の名物料理フォンドゥータ(チーズフォンデュのような料理)に使うのが最もよいとされています。




アズィアーゴ(Asiago D.O.P. D’Allevo)

ヴェネツィアのあるヴェネト州の内陸部、ヴィチェンツァ県にあるアズィアーゴ高原で作られるチーズ。1000年頃から羊乳で作られペゴリンと呼ばれていましたが、1500年頃から原料を牛乳に切り替え、生産地域もお隣トレンティーノ・アルド・アディジェ州まで拡大しました。ミディアム(Mezzano 4-6ヶ月)、長期熟成(Vecchio 10ヶ月)、超長期熟成(Stravecchio 15ヶ月)の3種類があります。もちっとしていてクセのない味は、イタリア料理だけでなくパニーニなどにもぴったり。

タレッジョ(Taleggio D.O.P.)

柔らかな食感を持つ、イタリアのウォッシュチーズの代表格。コモ湖近くにあるタレッジョ渓谷に始まり、今ではロンバルディア州、ベネト州、ピエモンテ州に広がりました。元々は、牧草を終えた疲れている牛の様子をもじって Stracchino(stracc は疲れるの意味)と呼ばれていました。冷たく湿度の高い場所で40日熟成。上品な風味と軽い酸味と辛味を感じる、少しとろっとした味わいです。イタリア北部で食されるポレンタによく合います。

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ゴルゴンゾーラ(Gorgonzola D.O.P)

ゴルゴンゾーラは、ブルーチーズ(青カビタイプ)の一種で、ミラノ郊外にあるゴルゴンゾーラという街で生まれました。ある若者が恋人に早く会いたいために、カードと呼ばれる牛乳のタンパク質が固まったものを地下倉庫に吊るしてほっておいたら、緑のカビが生えて美味しいチーズが出来たという偶然(愛?)の産物。現在の生産地はロンバルディア州およびピエモンテ州。Stracchino の一種で Stracchino Verde(緑)とも言います。クリーミィなドルチェ(甘口)と、伝統的なピカンテ(辛口)の二種類があって、ドルチェは最低50日間、ピッカンテは最低80日間熟成させます。そのままパンやクラッカーに乗せて、さらに蜂蜜やジャムと共に食するのもよし。またサラダのトッピングやピザ、パスタ、リゾット、ステーキのソースなど、万能なチーズです。

カチョカヴァッロ(Caciocavallo Silano D.O.P.)

イタリア南部のバジリカータ州、カラーブリア州、カンパーニア州、モリーゼ州、プーリア州で生産されているカチョカヴァッロ。最低30日間、袋に入れられて吊るされ熟成するその姿が、馬にぶら下げられた袋に似ていることからカチョ(チーズ)カヴァッロ(馬)と名づけられました。また、シラーノとはカラブリアにある空気の澄んだシーラ山地のことです。スライスして焼いて食べると、外はカリッ、中はトロッとなりますよ!

ロビオーラ(Robiola di Roccaverano D.O.P.)

ピエモンテ州アスティで作られる、ヤギ、ヒツジ、牛、もしくはこれらを混ぜた、作り手によって味の異なる別名マンマのチーズ。4-11日熟成するフレッシュチーズで、それ以上時間をかけたものはアフィナートと呼ばれます。ヤギやヒツジの獣味は全く感じないまるでクリームチーズ。熟成に従って外側が赤みを帯びるため、その色合いから「ルビー色の」という意味の名前がついたと言われています。クラッカーなどにのせ、同じくピエモンテのバローロやバルバレスコに合わせると良いでしょう。

マスカルポーネ(Mascarpone)

イタリア発の有名なデザート、ティラミスの材料として知られるマスカルポーネ。生クリームから作られたチーズにレモン汁やお酢などを加えて作られ、ミラノの南の街ロディ(Lodi)で16世紀の終わり頃から作られ始めました。そのクリームのような味わいから、リゾットやお菓子の材料として使われたり、ゴルゴンゾーラチーズと合わせて食べたりすると、もうたまりません!

リコッタ(Ricotta)

マスカルポーネは、元々ロンバルディア州の方言リコッタ(Ri-cotta:2度調理する)のことなのですが、こちらのリコッタは生クリームではなく乳清のホエイから作られるため、味が軽くさっぱり、まるで豆腐のような味わい。厳密にはチーズではありません。全国各地で生産されていますが、そのうち D.O.P 認定されているのはカンパーニャの水牛リコッタ(Ricotta di Bufala Campana D.O.P.)とローマの羊リコッタ(Ricotta Romana D.O.P.)。




モッツアレラ(Mozzarella)

日本でも普段の食卓に並ぶようになったモッツァレラは、イタリア全国で生産されるフレッシュチーズ。固まった乳に熱湯を注いで練り上げ、機械または手でちぎって成形します。この行為をイタリア語では「mozzare(ちぎる、断つ)」というため、その名がつきました。

各地域にそれぞれのモッツァレラがある中で、D.O.P を保有しているのは2つ。1つ目はカンパーニャ州の水牛モッツァレラ(Mozzarella di Bufala Campana D.O.P.)、2つ目はプーリア州のジョア・デル・コッレ(Mozzarella di Gioa del Colle D.O.P)です。イタリアでは丸々そのまま出てきてナイフとフォークで食べることが多いです。そのまま食べても美味しいですが、ナポリ名物のピッツァマルゲリータには欠かせないですね!

ブッラータ(Burrata di Andria I.G.P.)

モッツァレラの1種類ですが、モッツァレラの中にはクリームが!ナイフを入れるとクリームがトロッと流れ出し、口に入れるとミルクの風味が広がる絶品。プーリア州の名産です。




まとめ

イタリアに600種類あるというチーズのうち、代表的な13種類がこちら。でも、まだまだたくさんありすぎて載せられません。是非ご自分のお気に入りチーズを見つけてくださいね。

#郷土料理

ITALIAMO編集部

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