本当にあった事件簿 泥棒の多いミラノの街

イタリアは泥棒が多いと耳にしたことがある人は多いのでは?ミラノで実際に起きた事件と、気を付けるべき点とは?

街中で

イタリア街中でのスリというと、20年ほど前はジプシーが危険、などと言われることもありました。近年では、明らかにそれといった人は街中に見かけることはミラノではありません。ところが犯罪のスキルはとても上がっており、まさにプロの技。人混み、人混みでない場所にかかわらず、カバンはしっかり閉め視界に入る場所に持つのが賢明です。スリはあなたを見ています。

パルコ・サンピオーネ(Parco Sempione)でのスリ

当時筆者はスフォルツェスコ城近くの Parco Sempione から目と鼻の先に住んでいて、ランニングや散歩をしたりと公園はまさに”庭”だったのです。そんな油断をスリはしっかり見抜いたのか、お出かけ着で日本から訪伊していた友人たちと散歩をしていた時のこと。ポシェットを斜めがけにして、おしり側にかけていました。ふとポシェットに目をやると、中身のおサイフ(カードサイズの小さいもの)だけ抜かれていました。人が近づいてきた気配も、ポシェットに触られた感触も、一切なし。プロの技術です。

Photo by Italiamo

ヴィットーリオ・エマヌエーレ2世のガッレリア(Galleria Vittorio Emanuele II)でのスリ未遂

上記とは別の日本から訪伊していた友人たちと買い物をしていた時のこと。友達が斜めがけにして、かつチャックが閉まっているポシェットに手をかけようとしている人が! その時たまたま、その友達が「ねぇねぇ」と私たちに話しかけようとスリ側に顔を向けたので、スリは何事も無かったように去って行きました。人混みの中での堂々としたスリです。女性で、金髪でした。

Photo by Egor Myznik on Unsplash

旅の途中で

マルペンサエクスプレス スーツケース

日本への帰国に際し、お土産が山のように詰まったスーツケース。ミラノ・カドルナ駅は、マルペンサ空港まで約40分でいける便利な電車。筆者は出張で乗り慣れており、その油断を見抜かれたように、やはりスリは見ていました。大きなスーツケースをケース置き場に置いて、座ってスマホに集中。空港についた時には、筆者のスーツケースだけありませんでした(涙)。

Photo by Dimitri Karastelev on Unsplash

まずスーツケースからは目を離さないことは基本で、「邪魔で迷惑をかける」などという日本人の良さは封印し、自分の持ち物を守るのが賢明です。後は、日本で人気のRIMOWAなど高級なものは持たない方が良いかもしれません。後で調べたら、マルペンサエクスプレスのような直通でなく途中下車のできる電車は、犯罪がやりやすいのだそうです。

車で

いずれも友人のケースです。車も常に狙われていますので、外から見えるところにモノは置かないこと車は人目につきやすい場所に止めること、あたりがポイントでしょうか。

運転中に

筆者の元同僚イタリア人の話です。8月のバカンスシーズンにミラノの街から人がいなくなるのはご存知でしょうか。ミラノに住んでいる多くのイタリア人はリゾート地に出かけてしまうためです。そんな人のいない8月に街中を運転していた彼女。窓を開けて助手席にハンドバッグを置いていました。運転席側から妨害するように運転してきた車に気をとられた隙に、助手席のハンドバッグが盗まれたそう。貴重品は足元に置くのが良いですね。

サービスエリアで

高速道路を運転中、コーヒーやトイレを目的として休憩する場所サービスエリア。日系企業駐在員の友人は車を降りる前にトランクを開けて中のものを取り出したそう。そのトランクにはスーツケースが。10分後くらいに戻った時には、窓が割られ、トランクに入っていたスーツケースが盗まれていました。トランクがあると知った犯人が狙いを定めていたようです。

路上で

イタリア運転事情 サバイブするコツ6選でお伝えしたように、路上駐車はあたりまえのイタリア。というより道が駐車場という言い方が正しいです。通常通り、自分の車を道に駐車して、翌日戻るとガラスが破られ、備え付けのオーディオが無くなっていたそう。備え付けのオーディオなんて取り外して家に持って帰れるものでもないし、困ったものです。

三重駐車だったと思われるクルマ(一番左側は出庫済)Photo by Italiamo

空き巣

空き巣被害は日本人に限らず多いのです。戸締りしても狙われたら入られます。イタリア人に聞けば、家には貴重品をおかずに、銀行の金庫に預けるのだそうです。

ミラノ中心街 有名レポーターのマンション9階

Instagramの投稿を通して、どこに住んでいるか、いつ家にいないか、が筒抜けだった有名スポーツレポーターのディレッタ・レオッタ。ある日の深夜に家に帰ったら、家の中はもぬけの殻でした。この事件はニュースにもなり、被害総額(保険請求額)は約15万ユーロ(約2千万円相当)くらいに上ったそう。

被害者の自宅はアパートの最上階で9階。完全なプロの犯行で、正面からではなく、隣のアパートから屋上を伝って侵入したと推測されています。

ミラノの再開発エリア・シティライフ 日本では予算が問題になった国立競技場のデザインで知られるザハ・ハディッドデザインのマンション。キアラ・フェラーニが住んでいます(本文とは関係ありません) Photo by Italiamo

ミラノ郊外 友人宅

イタリア人の元同僚(上記とは別)がバカンスで家を不在にして帰宅すると、家にあったジュエリー、ブランドバッグなどが盗まれていました。キャリアウーマンでお洒落な彼女。被害総額も大きかったことでしょう。

Photo by Laura Chouette on Unsplash

高級ジュエリー

これは実際にあったケースではありませんが、高級ジュエリーを身につけているとイタリア人に止められます。盗まれるだけならいいけれど、万が一怪我でもしたらどうするの?と。指輪の代わりに指をなくすわよ、と。それ以来、ミラノの街を歩くときは、ジュエリー、ブランドバッグを身に付けることはなくなりましたし、そういうものを身につけている人も滅多に見かけません。

自転車

こちらは世界共通かもしれませんが、自転車の盗難は日常茶飯事なので、皆、頑丈なチェーンを電柱にグルグル巻きつけて停車させています。ただ筆者の友人で数人、自分のアパートの中に止めていたのに盗まれてしまった人がいます。なので、盗みたくないような古くて汚い自転車に乗るようにしている人が多いです。

Photo by Héctor López on Unsplash

事件に遭ってしまったら?

運悪く事件にあってしまった場合は、ブレラ地区にある警察が24時間開いており、英語を話す警官もいますので(いない時もあります)、すぐ盗難証明書を発行してもらえます。

Questura di Milano
Via Fatebenefratelli, 11, 20121 Milano MI
(旗のかかっている右側のクリーム色の建物です)

あとは、効力のある損害保険には必ず入っておきましょう。

おわりに

日本での盗難被害など空き巣数件しか聞いたことのない筆者が、数年の間でこれだけの事件に直接的間接的に遭遇するとはイタリア恐るべし!ですが、ポイントを抑えて気をつければ事件に遭う可能性は減ります。イタリアは欠点も多いですが、それ以上に素晴らしい魅力がたくさん。その良し悪しがミックスされた複雑性が、魅力の一つだと思いませんか。

 

ITALIAMO編集部

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